対象車種には、中東で人気のランドクルーザーが含まれる。粗利率の高い車種の減産は、完成車メーカーだけでなく、部品などのサプライヤーの業績にも悪影響を及ぼすだろう。日本から中東への自動車輸出額はおよそ2.5兆円(2025年)で、中東向け輸出の過半を占める。

 自動車に次いで中東向け輸出額が多い、鉄鋼製品にも影響は避けられない。中東では近代的な都市開発整備が盛んだが、紛争が一時中断させるからだ。サウジアラビアの未来都市計画であるネオムや、2030年リヤド万博のインフラ整備が遅れ、鉄鋼需要が落ち込むリスクが高まっている。

 飲料や食品分野への影響も深刻だ。サウジアラビアやUAEの富裕層には、日本のブランド和牛が非常に人気だという。国内の生産者がハラール(イスラム教の戒律)に従った処理を行い、輸出経路を構築したことで右肩上がりに販売を伸ばしていたが、紛争が水を差した。

 また、緑茶や抹茶も中東諸国でブームになっている。所得水準が高いUAEでは、高価格帯の果物、加工品を含む水産品、日本酒、そして和食への人気が高まっていただけに残念である。

 ドバイの高級和食レストランでは、高価格帯の日本酒1本に8万ディルハム(約345万円)もの値が付くケースもあったという。このようにイラン戦争は日本経済全体にマイナスの影響を与える。

海外で広がる「不可抗力宣言」とは?
住友化学の出資企業も供給断念

 海外では「不可抗力宣言」(フォースマジュール宣言)を発動する企業が続々と増えている。これにより、基礎資材の供給寸断が顕在化し始めている。

 不可抗力宣言を行った企業は、顧客の被害を最小限にする方策を模索する。宣言を受け取った側は契約履行の可否を精査し、状況によって支払いを停止する。宣言が認められない場合は、供給者が損害額を補償する可能性がある。以上が一般的なフォースマジュール条項の内容だ。

 イラン側の報復の結果、カタールなどの液化天然ガス(LNG)関連施設が停止した。中でも、世界2位のLNG生産量を誇るカタール・エナジーの生産停止の影響は大きい。その他にも、ドミノ倒しのようにLNG関連製品の供給が停止し始めている。