中国にとってはプラスばかりでもない
高市政権は腕の見せどころだが楽観はNG

 中国にとって、イラン紛争はプラスばかりでもないはずだ。不動産バブル崩壊と内需不振で景気が悪化する中、エネルギー価格が上昇すれば、個人消費への打撃は大きくなるだろう。民衆の不満がさらに高まると予想される。

 そもそも中国の政策上、イランは重要な国だった。ハメネイ師が死亡したことで、中国はベネズエラのマドゥロ大統領に続き、親中国の首脳を失った。

 米国は3月3日にエクアドルでも軍事作戦を開始した。エクアドルは、駐エクアドルのキューバ大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定し退去を命じている。

 トランプ氏にとって、最も重要なイベントは11月の中間選挙だ。支持獲得に向け、次の攻撃のターゲットも見定めているとみられる。「イランでの軍事作戦が完了した次は、キューバだ」と述べている。仮に米国がキューバへの圧力を強めると、軍事力で西半球を支配するドンロー主義はますます明確になる。

 それに伴い、欧州と米国の関係は一段と不安定化するだろう。欧州と中国との関係のように、米国抜きの経済連携を重視する国や地域は増え、世界経済がブロック化に向かうリスクが高まりそうだ。

 そうした展開が現実になると、世界の供給網は寸断されるだろう。レアアースや半導体を巡る主要国の対立も一層激化する。こうなると世界的に経済成長率が低下し、同時にインフレが進行するリスクは高まる。

 日本はいかに国益を維持できるか、高市政権の腕の見せどころになるだろう。ただし楽観は禁物だ。

真壁昭夫さんのプロフィール