4月の金融政策決定会合に臨む日銀の植田和男総裁(中央)ら4月の金融政策決定会合に臨む日銀の植田和男総裁(中央)ら=4月28日 Photo:JIJI

日銀、4月決定会合でも政策金利据え置き
だが、物価上振れリスクへの警戒感は強まる

 日銀は4月27、28日の金融政策決定会合で、中東情勢や、それによる経済・物価への影響を見極めることなどを主な理由に、3会合連続で政策金利の据え置きを決めた。

 ただ、3人の審議委員が短期金利1.0%程度への引き上げを提案するなど、物価上振れリスクへの警戒感は強まっている。

 米国とイランは停戦状態にあるものの、戦闘終結に至るかどうかは不透明だ。ホルムズ海峡は実質的に封鎖されたままで、原油価格は高止まりしている。

 この状況が今後も続くなか、アジア諸国ですでに顕在化する原油供給不足が深刻化し、国内外の経済活動が供給面から強く抑制されれば、物価高と不況が同時進行する「スタグフレーション」に日本経済が陥ることも考えられる。

 植田和男総裁は4月会合後の記者会見で、負の供給ショックへの金融政策の対応の難しさを指摘しつつ、「実質金利が中期ゾーンまでは非常に低いところにある、その意味で金融環境は非常に緩和的」と述べ、今後の政策判断で実質金利の低さを考慮するとの考えを改めて示した。

 石油危機(オイルショック)での経験から、日銀は不況でもインフレ期待や基調的な物価上昇率が上振れすれば、金融政策を引き締める必要がある。

 1978年10月に発生した第2次オイルショックでは、「狂乱物価」となった第1次(73年10月~74年8月)での経験を踏まえ、日銀は早い段階で当時の政策金利である公定歩合を引き上げるなどして物価の安定を図った。

 今回が第3次オイルショックに発展するかどうかは予断を許さないが、賃金と物価の循環的上昇が続き、企業の価格転嫁も広がっている。「非常に緩和的」な金融環境を維持することが金融政策の大幅調整、物価上昇に利上げが後追いになり大幅な利上げを余儀なくされる「ビハインド・ザ・カーブ」のリスクを高めることは確かだ。

 日銀は、次回6月会合あるいは7月会合で利上げを行うと予想する。中東情勢の緊迫が続いて6、7月に見送ったとしても、物価の安定のため26年秋には利上げに踏み切るだろう。