日銀のイラン情勢対応は「物価上振れリスク」重視で「4月利上げ」が中心シナリオか日本銀行・植田和男総裁 Photo:Bloomberg/gettyimages

中東情勢不安定化による原油価格高騰を受け、日本銀行は3月決定会合で、物価上振れと景気下押しの両方のリスクがあるとして政策金利を据え置いた。ただ植田総裁の会見などからは景気や賃上げが底堅いとみており、円安加速や家計のインフレ予想上昇などの原油高騰の二次的効果抑制で「4月利上げ」を中心シナリオとしていると考えられる。

3月会合は中東不透明下、政策金利据え置き
景気や賃上げは堅調との見方を維持

 日本銀行は、3月18~19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利(コールレート・オーバーナイト物の誘導目標)を0.75%に維持することを賛成多数で決めた。

 2月末に勃発した米国・イスラエルのイラン攻撃に端を発したイラン戦争が日々大きく展開を変え、ホルムズ海峡の事実上の封鎖から原油などエネルギー価格が急騰しつつ高いボラティリティーを示している下で予想通りの結果だった。

 植田和男総裁が会合後の会見で説明したように、日本経済への影響は中東情勢の不安定化の内容や持続性によって異なるが、エネルギー価格の高騰が続けば、国内物価への波及を通じてインフレ率を押し上げる一方、企業の交易条件の悪化や家計の実質購買力の低下を通じて経済活動を下押しする。

 こうした逆方向のリスクは日銀の政策運営を難しくするが、植田総裁はいずれのリスクを重視するかについては、現時点で「一概にお答えすることは難しい」と語る一方で、決定会合での政策委員の、基調的物価上昇率の影響への議論では、「微妙に前者(物価上振れ)の方が多かった」と説明した。

 今回の記者会見の内容全体を踏まえると、少なくとも現時点で日銀は物価の上方リスクを相対的に重視し、次回(4月)会合での利上げを中心シナリオとしていることが推察される。

 景気は底堅い上、今春闘でも高賃上げ率が維持される見通しが強い一方で、円安の加速や家計のインフレ予想の高まりなど、原油価格高騰による「二次的効果」の抑制を重視すると考えられる。