人に見せれば批判されてしまう、人を頼ればつぶされてしまう、そんなときは私はじっと見えないところで育てていきます。そして、地下茎を伸ばした雑草が、離れた場所で芽を出すように、出すべきときに、出すべき場所で、芽を出すのです。

 成長には目に見える成長と、目に見えない成長があります。見せて育てるべきか、見せずに育てるべきかを選ぶことができるのです(もっとも、私はこの方法でけっして成功しているわけではありません。意識しているというだけです)。

結果が出ないときは
見えない部分を伸ばせばいい

 このように雑草は、地面の上の「見せる成長」と、地面の下の「見せない成長」のバランスが極めて合理的であると言われています。研究者は、地面の上の成長と、地面の下の成長の割合を「TR比」と呼んでいます。

 Tは上部を意味するTOPの頭文字、Rは、根っこを意味するROOTの頭文字です。RはROOTではありますが、実際には地下茎や芋など地面の下の器官はすべて含みます。

 TR比は、見える地面の上の成長と見えない地面の下の成長のバランスです。そして、雑草と呼ばれる植物は、常にTR比が最適になるような成長をしていると考えられています。

 一般にストレスがある環境では、TR比は小さくなります。つまりは、地面の下の成長の比率が大きくなるのです。ストレスが大きい環境では、見えないところで成長することが大切ということなのです。見えるところで成長すべきか、見えないところで成長させるか、これは雑草の生き残りにとって、重要な要素です。

 人間ではどうでしょう。

 仕事の成果をアピールして見せるべきか、それとも見せずに次へ進んだ方が良いか、ということもあるでしょう。あるいは頭の中で考えているアイデアも、全てをさらす必要はありません。見せないアイデアがあってもいいのです。

 この考えは伝えた方が良いか、それとも、見せずにおいた方が良いか……。

「見えない」「見せない」と言うと、暗躍するような悪いイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。すべてをさらせば良いというものではないのです。