エスカレーター校 クライシス#1Photo:PIXTA

「女子大離れ」の逆風を受ける白百合女子大学をはじめ、学校法人白百合学園が運営する幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の全てが「定員割れ」(収容定員ベース)に陥っている。傘下の小学校の一つが募集停止したのに続き、中学・高校で初めて男子を募集して共学化するところも出てきた。特集『エスカレーター校 クライシス』(全15回予定)の#1では、白百合学園の幼稚園6園、小学校3校、中学校4校、高校5校、大学2校全ての定員充足率を算出し、名門エスカレーター校の実情を伝える。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

幼稚園から小中高大まで
名門・白百合、全て定員割れ

 気高い白百合の花が枯れようとしている。この“白百合”とは、名門女子校を運営する学校法人、白百合学園のことである。

 140年以上の歴史を持つ白百合学園は、幼稚園から小学校、中高一貫校、大学などを全国で展開している。一貫教育を行う名門女子エスカレーター校で、受験生の親世代の時代に「白百合出身」と口にすれば一目置かれた。しかし受験生の共学志向が強まり「女子大離れ」が進むにつれて、白百合女子大学の受験人気は剥がれた。2024年度入試での入学者は入学定員の6割で、大きく定員を割った。

 白百合女子大の苦境をグループ内の他校が支えられるかといえば、各校にそんな余裕はない。幼稚園6園、小学校3校、中学校4校、高校5校、大学2校、その全てがなんと定員割れしているのだ(収容定員ベース)。白百合女子大の定員充足率はまだマシな方で、「女子大離れ」は問題の一部にすぎない。

 次ページでは、白百合学園が運営する各校の「入学定員充足率」(入学者数÷入学定員)および「収容定員充足率」(在籍者数÷収容定員)を算出。白百合学園が直面する危機の正体を明らかにする。