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知られざるマンション管理・売買の情報を、管理のプロや売買の玄人からなる業界のインサイダー集団が、独自の情報と視点から忖度(そんたく)なしに論じる新連載『マンション羅針盤 管理&売買』。第1回は都心のマンション高騰の話題が世にあふれる中、語られてこなかった「地方のマンション事情」。現地で高経年(建築後長期間経過した)マンションの管理を手掛けるマンション管理士の澤田氏が、現場からの肉声をリポートする。(マンション管理士 澤田 亮)
地方都市マンションの未来はどうなる?
迫りくる管理不全をどう防ぐべきか
新潟のマンション管理士の澤田と申します。
元々は新潟県内の管理会社数社で累計15年超勤務しておりましたが、現在はその経験を活かして独立し、高経年マンションを中心にマンション管理のお手伝いをしております。
さて、昨今はマンションのニュースと言えば「東京のマンション中古価格が1億円を突破」や「タワマン購入が抽選で数百倍の倍率」のような景気の良い話が多く市場を賑わせております。新築マンションでも売れ残るような新潟県のマンション市場を見ている私にとっては、なにか遠い国のように感じてしまいます。
そんな私が現在興味を持っているのは「地方都市のマンションは今後どうなっていくのか」という問題です。ご存じかもしれませんが、マンションの戸数は大都市圏が突出して多くなっています。東京カンテイの集計では、全国のマンションストック770万戸のうち、東京都が203万戸、神奈川県102万戸、大阪府が89万戸と、この3都府県だけで、日本のマンションの約半数を占めております。インターネットなどでマンションに関する言説を集めると、圧倒的に大都市圏のマンションの声が大きくなるのも致し方ありません。
しかし、地方都市のマンションは、大都市圏のそれとは全く違う環境にあり、その問題も矮小(わいしょう)化されがちです。情報としては、あまり出てこないのが現状だと思います。本稿では地方都市マンションの現状をご紹介しつつ、その未来予測をしてみたいと思います。
マンションというとことさら東京都心の高額マンションを中心に語られるが、市場の残り半分を占めるその他地域のマンションの状況は、実はあまり語られることがない。修繕や管理、そして築年数がたったマンションの建て替えはどのような状況にあるのか。都心よりも余剰な容積率があるように見えるが、実際に建て替えは進むのか。そして地方でマンションを所有しているオーナーは、この先どんなことに注意を払うべきなのか。次ページから見ていこう。







