近畿地銀界に「池田泉州・滋賀アライアンス」で再編の号砲、統合含みの異例提携を“メガバンクも無視できない”理由Photo by Yasutaka Nagayoshi

滋賀銀行と池田泉州ホールディングス(HD)は4月17日、資本業務提携を締結したと発表した。停滞気味だった近畿の地銀再編が再び動きだした格好だ。なぜ今、この2社が手を組んだのか。長期連載『金融インサイド』の本稿では、両トップ会見の詳細に加え、池田泉州HD幹部や投資ファンドのありあけキャピタル、メガバンク関係者への取材を基に、その背景を解き明かす。そして今回の提携が近畿にとどまらず、東海の地銀、ひいてはメガバンクの営業戦略にも波及し得る理由を、近畿・東海の地銀勢力図と共に明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

久保田頭取が統合含みの発言
再編は近畿・東海で見る必要も

 近畿の地銀再編が、再び動き始めた。

 滋賀銀行と池田泉州ホールディングス(HD)は4月17日、資本業務提携「池田泉州・滋賀アライアンス」を締結したと発表した。相互に0.5~1.0%程度の株式を取得し、法人、個人、サステナビリティー、地域支援、人材、デジタルなど幅広い分野で連携を進める。

 0.5~1.0%程度の資本を伴う理由について、池田泉州HDの阪口広一社長は「資本を伴わないアライアンスが悪いわけではないが、やはりお金が伴って、本腰を入れて身のあるものに、という覚悟の表れだ」と説明した。

 ただ、今回の会見で最も注目すべき点は、滋賀銀行の久保田真也頭取が将来的な統合の可能性を否定しなかったことだ。

 地銀同士がアライアンスを結ぶ際には、将来的な経営統合の可能性も含めてきっぱりと否定しておくのが“常”である。

 ところが久保田頭取は「現段階で経営統合を考えていることはない」としながらも、「将来の可能性を全く否定するものではない。これから協議体を設置して、いろんな形で進めていき、そういう方向性が本当に出てくるのであれば検討していかなければいけないと思う」と語った。アライアンス締結の時点で、統合の選択肢を閉ざさず、検討の必要性にまで踏み込んで言及するのは異例だ。

 背景には、金利のある世界で規模のメリットが増していることがある。久保田頭取は「規模の目標を持って提携するということではない」と語る一方、「規模の論理は、私は非常に必要なことだと思う」とも話した。

 近畿の地銀再編は、ここしばらく下火だった。2018年4月にみなと銀行(兵庫県)がりそなグループの傘下に入り、19年4月に近畿大阪銀行と関西アーバン銀行が合併して関西みらい銀行が誕生して以降、目立った動きはなかった。

 そうした中で、滋賀銀行と池田泉州HDが資本業務提携に踏み切った意味は大きい。近畿の地銀幹部が「このエリアでは唯一のアライアンスとなるため、周辺地銀が刺激を受けるのは間違いない」と話すように、この提携は次なる近畿地銀再編の“号砲”である。

 では、近畿で数ある地銀のうち、なぜ滋賀銀行と池田泉州HDが手を組んだのか。

 次ページでは、その背景にある複数の事情に加え、両社の大株主である投資ファンド、ありあけキャピタルの動きや周辺地銀の思惑から、近畿・東海エリアの地銀勢力図を基に再編のポイントを読み解く。

 地銀勢力図には、各行の勘定系システムや総資産規模、アクティビストの存在も記した。併せて、この動きをメガバンクも無視できない理由を明らかにする。