学生にも、フレッシャーズにも必要な「自己理解」
横澤さんは、「地元企業ならではの強み」を最大限に生かしていくことが、地方の企業には、これからいっそう必要だと語る。「地元企業ならではの強み」――学生へのアピールポイントは、どのようなものだろう?
横澤 大企業は全国規模のテレビCMなどを活用し、知名度を上げますが、私たちはそうはできません。そうしたなか、「地元企業」の強みになるのは、学生たちの多くが、物心のついたときから高校までの約18年を生まれ育った「地元」で暮らしているということ。つまり、学生からすれば、地元の企業は、「身近な企業」なのです。ですから、小学生・中学生・高校生を対象に、地元企業が職業体験の場をつくったりして、社会にこれから出る若者に、より身近な存在になることが望まれます。地域で人を育てていく姿勢です。「こういう人が地元で働いている」「そういう仕事もあるのか」といった気づきで、学生が身近な企業を意識して、働くイメージをより持てるようになるといいですね。
それと、私が学生によく伝えているのは、地元での就労は「ワークライフバランス」の選択肢を広げる、ということです。生まれ育った場所には、親御さんや親戚がいるので、ライフイベントの転機や子育ての時期でも、夫婦それぞれが望む仕事を続けやすいはずです。
山形県との縁があって、首都圏の学生がインターンシップや入社試験にエントリーすることもあると、横澤さんはこれまでの採用活動を振り返る。地方の大学に通う学生にせよ、首都圏の大学に通う学生にせよ、どういう学生を横澤さんは求めているのか? 入社して身に付けてほしい姿勢はどのようなものか?
横澤 先ほどのインターンシップの話につながりますが、「自己理解」がしっかりできている学生です。そして、入社後は、その仕事をする理由を自分自身で理解し、「私はこういう経験や考えをもとに、こうしていきたい」という姿勢が望まれます。自己理解ができている人に対しては、人事部や職場の管理職、先輩社員が伴走しやすいですね。
では、学生は、どうすれば、「自己理解」を得ることができるだろう?
横澤 「体験」することです。就職活動においては、まさに、そこに、インターンシップの存在価値があります。これは私に合わないとか、こんなときに私は楽しいとか――自分の考えや行動の土台となる経験をいろいろしてみること。気をつけたいのは、親御さんなど身近な人から、「あなたは○○になりなさい」「あなたは○○が向いている」と言われて、「自己理解」が乏しいまま、就職先を選んでしまうケース。すると、ある日、ふと、「私は、どうしてこれをやっているんだっけ?」となり、モチベーションの源泉がわからなくなります。
そして、学生や若手社員の「自己理解」のために、大学や企業は、さまざまなことを体験したり、チャレンジできる場をつくったりする必要があるでしょう。体験させずに、「うちの会社で働くのはどうですか?」と聞くのは、クルマの販売で言えば、「試乗できませんが、買いませんか?」と同じこと。アクセルの踏み心地や車内空間の雰囲気は、実際に乗ってみないとわかりません。








