学生にとって、いちばん魅力のある職場とは?
横澤さんは、トヨタカローラ山形の人財開発室のチーフとして、新卒者の採用・教育から、中堅社員向けの研修提案に至るまで、“人を育てる”仕事を幅広く行っている。日頃、どのようなことを意識しているのか?
横澤 仕事においては、すべてのことに「真摯」に向き合うことを意識しています。学生のためになることをしっかり考えていくこと。その後に、自然と成果はついてくると思います。また、新入社員の採用・教育では、経営層や店舗スタッフの人たちをいかに丁寧に巻き込んでいけるかが重要だと考えています。インターンシップは実際の店舗や営業の現場で行うことが多いので、日々の仕事の多忙さから、「できれば遠慮したい」と思う先輩社員もいるかもしれませんが、持続可能な経営のために、そして、何よりも学生のために、きちんと実現していきたい。現場が採用活動にあまり協力的ではない――そのことに悩む人事担当者は世の中に結構多いようです。
そして、私個人としては、学びの機会をたくさん得て、仕事の視座を上げていきたいです。県内の中学生を対象に、「職業講話」を続けているのもそのひとつ。行政機関主導の若年層のキャリア形成に小社が関与しているかたちで、働く心構えや職業体験に参加したときに必要なマナーなどを話しています。余談ですが、その「職業講話」の場で、中学生のみんなに尋ねるのが、「将来、何かの仕事をすることにワクワクしますか?」ということ。手を挙げてもらうと、だいたい、どこの中学校でも、ワクワクする生徒が3で、しない生徒が7です。キャリア観の基準は家庭で身に付きます。親御さんの姿を見ての影響もあると思います。「くたびれた」「毎日たいへん」なんて言葉を子どもが家庭で耳にすると、子どもは「仕事って、大変なんだな」って思い、「仕事は楽しい」と親御さんが言えば、子どもは仕事に希望を持ちます。
現在は、仕事に対するビジョンが明確に見えている横澤さんだが、コロナ禍では、地方企業の人事担当者の一人として、「そもそも、新卒採用を何のためにするのだろう?」と熟考したという。
横澤 以前は、「毎年の採用がないとその年代が欠けてしまうから」くらいの感覚でしたが、私が改めて思ったのは、お客様に良いサービスを持続的に提供できる社員の存在が採用の目的であり、入社時点の人数の問題ではないということでした。採用担当者は、新卒社員の入社人数で会社や世間から評価されることもありますが、入社1年で辞めてしまったら意味がありません。人材不足になりがちな地方企業は、採用の目的や理由を、いま一度、見直す必要があるのかもしれません。「求職者・求人者それぞれが適切な自己理解をし、目指す方向性の合った、パフォーマンスが発揮できる人を探し、育てていきましょう」と、私は、自分を含めた地方企業の人事担当のみなさんにメッセージしたいです。
地方、首都圏、関西圏といった企業の所在地にかかわらず、これからの学生が望む職場――それは、「社員がイキイキ働いていること」だと、横澤さんは明言する。
横澤 合同説明会やインターンシップで、学生に会社の存在を知ってはもらったものの、「ここで働いてみよう」と思ってもらうためにはどうしたらよいか? 社員がイキイキ働いていることが、学生にとって、いちばんの魅力になるはずです。ですから、社員がイキイキと働けるための環境や制度づくり、研修などを通じた人材育成は現代の採用において重要なポイントだと思います。一般的に、企業の採用担当者は、興味付けのために「耳障りの良いこと」を言わなければなりませんが、内定承諾段階で曖昧なままでは、誰にとっても得になりません。内定承諾段階では、説明を曖昧にせずに、具体的に行うこと――これは、かつて、新卒入社した私自身が、営業時代に上司や先輩社員から学んだことで、採用・教育担当の、現在の私の姿勢になっています。











