戦争を巡る弱気論が株高材料になる理由Photo:Michael M. Santiago/gettyimages

イラン情勢を巡っては、停戦協議の不透明感、ホルムズ海峡の通航リスク、原油高の長期化、日銀のインフレ警戒など、投資家の不安は尽きない。しかし、米著名投資家ケン・フィッシャー氏は、こうした「いや、でも……」の悲観論こそ、強気相場がよじ登る「懸念の壁」を厚くする材料だと語る。なぜ戦争を巡る弱気論は、むしろ株高を支え得るのか。その論理を解き明かす。

弱気派の「いや、でも……」こそ
強気相場の追い風だ

 4月のコラムで、私はイランを巡る戦争が株式やGDPに長く打撃を与えることはないと論じた。すると、その後、数え切れないほどの「いや、でも……」が押し寄せた。

「いや、でも和平協議が決裂したら?」
「いや、でも“ホルムズ海峡通過税”で原油価格は上がるのでは?」
「いや、でも状況が正常化するまで投資を待つべきでは?」

 私は、こうした「いや、でも……」が大好きだ。強気相場がよじ登ることで有名な「懸念の壁」にレンガを積み増してくれるからである。では、一つずつ見ていこう。

停戦の不安定さは
市場がすでに織り込み済み

 東証株価指数(TOPIX)と世界株は3月下旬の安値から持ち直した。だが、停戦協議の不安定さや、米国による「二重封鎖」が、この反発を打ち消すのではないか、と懸念する声がある。

 しかし、市場は停戦が脆いことなど最初から分かっていた。そして、それを重大な脅威と見ていない。米国による封鎖が新たに大きく変えるものは少ない。イランは既に「非友好国」の通行を止めているからだ。では、「二重封鎖」は何を封じているのか。制裁と老朽化したインフラによって、今回の紛争前からイランの原油輸出は大きく抑え込まれていた。米国による封鎖が主に止めるのは、中国向けの輸出、日量約170万バレル程度と大きくない。