7月20日に就任し、演説を行う英国のバーナム新首相 Photo:Dan Kitwood/gettyimages
英新首相は財政再建を図れるか
債務ダイナミクス好転を阻む構造問題
英国で7月20日に首相が交代した。金融市場の最大の関心は、バーナム新首相が財政の持続性に関する市場の信認を取り戻し、国債金利の安定化を図れるか否かである。英国はG7諸国の中でも財政赤字が最も大きく、政府債務のGDP比率は上昇を続ける(図表1)。
スターマー前首相の財政再建策は、市場の信認を得ることに失敗した。新首相の経済政策の内容は秋季予算案を見るまでわからないが、政治環境を踏まえると、国民に不人気な財政再建を図る余地は当面小さい。財政赤字をGDP比で2%を切るまで縮小させるという前政権の目標達成は遠のき、2-3%の赤字が数年続く蓋然性が高いと筆者はみている。
仮に新政権が予想以上の財政収支改善に成功しても、それだけでは財政再建は難しい。財政の持続可能性を示す指標である政府債務残高のGDP比率を安定化させるには、同時に経済成長率を高め、国債金利を下げることが不可欠だ(所謂ドーマー条件)。
ただ、英国経済が抱えるマクロ経済面での構造問題を踏まえると、経済成長率と国債金利を変化させて政府債務のダイナミクスを好転させるのは決して容易ではない。
英国は生産性の停滞による成長率の伸び悩みに苦しむ。インフレ抑制でも他国に比べ苦戦しており、財政懸念の高まりもあって、近年の国債金利の上昇幅も他の先進国比で目立つ。
英国の歴代政権もこうしたマクロ経済の構造問題へ取り組んできたが、頻繁に起こる政情不安や、ポピュリズムの台頭により、必要な改革を推進することが一段と困難になっている。国際金融市場の混乱の火種として、英国の財政から目を離せない展開が続くとみている。








