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5月に三重県の三十三フィナンシャルグループ(FG)との経営統合で基本合意したあいちフィナンシャルグループ。伊藤行記社長はダイヤモンド編集部のインタビューに応じ、次の経営統合の相手として「信用金庫も選択肢にある」と明かした。地銀再編を「先手必勝」と語る伊藤社長は、なぜ拡大志向を続けるのか。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』の#6では、三十三FGとの統合の狙いや、スピード重視で再編を進める理由、次の統合相手に求める条件を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
旧中京銀行との合併で愛知県トップへ
経営統合は長引くほど負担が増す
――2022年10月に愛知銀行と中京銀行が経営統合してあいちフィナンシャルグループ(FG)を設立し、25年1月に両行が合併して「あいち銀行」が発足しました。経営統合から2年3カ月という異例の速さで合併できた要因はどこにありますか。
私は19年6月に愛知銀行の頭取に就任しました。当時の預貸率(総預金に対する貸出金の割合)は60%台という低い水準で、国債や株式の運用が収益を支えていました。
ところが、マイナス金利下で国債利回りは下がり続け、収益に大きく響きました。頭取就任前、私は総合企画部担当の常務として中期経営計画の策定に関わっていましたが、当時のシミュレーションでは「この3年は何とか持っても、その後は赤字になりかねない」という結果でした。
そこで頭取就任後は、とにかくアセットを積もうとしました。預貸率は60%台から2年半ほどで80%台まで上がり、貸出金も1.8兆円程度から2.8兆円程度へ増加しました。
ただ、もう一つ問題がありました。東海3県には当時、地方銀行が7行あり、貸出金を約1兆円増やしても旧愛知銀行の規模は5番手でした。愛知県内のシェアも低く、地元で十分な存在感を出せていなかったのです。
加えて、マイナス金利下では従来型の預貸ビジネスだけでは厳しく、役務収益やソリューションの強化で新しい施策に取り組もうとしても、「人がいない」「資金がない」となる。要するにリソースが足りなかったのです。
そうなると、規模を大きくしてリソースを確保し、愛知県内でのシェアを高める必要があります。旧中京銀行と一緒になれば、県内でトップ規模になります。店舗も重複しており、再編によって人のリソースも生み出せる。そう考えて合併に踏み切りました。
合併は時間をかけるほど、システム統合も大変で、その間に体力を消耗します。私はシステム部門に10年以上いましたが、統合作業中は銀行として新しいことがほとんどできません。だからこそ、できるだけ短期間で進めようと考えました。
――県内再編では、組織文化の異なる地銀同士が一緒になるため、相互理解のために相応の時間をかけるケースもあります。
もちろん、そういうケースもあります。ただ、旧愛知銀行と旧中京銀行は合併前から、愛知県内で互いに強い敵対心があったわけではありませんでした。
もう一つ大きかったのは、旧中京銀行の経営陣には合併を経験した旧東海銀行(現三菱UFJ銀行)出身者がいたので、「合併は早く進めた方がいい」という理解が最初からありました。旧中京銀行側の協力と理解があったのは非常に大きかったですね。
これは申し訳ないことなのですが、システムも制度も旧愛知銀行側に合わせてもらいました。その方がリスクは低く、スピードも出ます。「これは愛知銀行、これは中京銀行」と一つずつ調整していると、時間がかかり、リスクも高まります。
合併の作業中は大変ですが、長く続けるより、結果的には早く進めた方が負担は少ないと思います。
――三十三フィナンシャルグループ(FG)とあいちフィナンシャルグループ(FG)は規模が近く、旧愛知銀行が主導した県内再編とは状況が異なります。意思決定のスピードや効率化が進みにくいのではないでしょうか。
次ページでは三十三FGを選んだ理由に加え、次の経営統合相手に求める条件や、規模拡大を続ける狙いを聞いた。すると、経営統合の候補先には信金も含まれると明かした。







