地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦#5Photo by Yasutaka Nagayoshi

奈良県唯一の地方銀行である南都銀行。石田諭頭取はダイヤモンド編集部のインタビューで、条件次第では同行より規模の大きい地銀グループとの経営統合も十分あり得ると明かした。「1県1行」の地銀トップが見据える再編の条件とは何か。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』の#5では、「1県1行」の先にある「1エリア1グループ」時代の可能性と銀行に求められる役割、南都銀行が中計目標を大幅に引き上げた背景や営業戦略の全貌をロングインタビューでお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

銀行との経営統合も選択肢の一つだが
南都銀行だけが得をする再編はしない

――近畿・東海エリアでは再編含みの動きが活発です。南都銀行も経営統合の必要性を感じていますか。

 中長期的に見れば、人口減少に伴うマーケットの規模縮小は避けられません。加えて、サイバーセキュリティーを含むシステム関連投資は今後も絶対に減らず、「クロード・ミュトス(米アンソロピックの新型AI)」に象徴されるAIの影響で高度化していきます。それに対応できる人材の確保も必要です。

 われわれの規模では、ベンダーなど外部の知見も借りながら取り組んでいくことになりますが、それが本当に持続可能な形なのか、自信を持ち切れない部分もあります。だからこそ銀行同士に限らず、ベンダーや異業種とのアライアンスで解消できるのであれば、当然組むべきだと思います。

 銀行同士の経営統合も、当然、選択肢の一つです。

 ただし、絶対に避けたいのは「南都銀行だけが良ければいい」という経営統合です。

 お客さまにメリットがなければ、統合しても意味がありません。その点について経営の思想や価値観が一致し、地域のお客さまのためになる統合でなければならない。

 その目的が一致し、同じ方向を向ける相手であれば、統合すること自体は全く問題ないと思います。南都銀行のコストが下げられればよいという話ではありません。

――経営統合によってFG機能を集約し、コストを下げられれば投資余力が生まれるので、顧客にとってもよいのではないですか。

 コスト削減で生まれたリソースを、お客さまへの価値提供に使えるならよいと思います。

 ただ、異なる銀行同士が一緒になるわけですから、その実現は容易ではないと思います。価値観が合わずに共通コストだけが下がるという統合は、どうなのかと思うところはあります。

 お客さまへの提供価値を最大化し、1+1が2.5や3になる。そうした経営統合であれば、私は妨げるものではないと思います。

――近畿・東海エリアでは、南都銀行を含め総資産6兆~8兆円規模の地方銀行が多いです。同じ規模の銀行同士が経営統合するとなると、主導権争いなどで難しい面も出てくるのではないでしょうか。相手の総資産規模は、経営統合に踏み切る上で考慮しますか。

 そこは結局、トップ同士がどれだけ腹を割って話せるか次第だと思います。確かに主導権争いばかりになれば、1+1が2.5や3どころか、1.5になりかねません。

 花火だけ先に打ち上げるような統合は避けたい。統合によって、それぞれの地域でお客さまに価値を提供できるか、きちんと機能するガバナンス体制を築けるかが重要です。

――地域のお客さまのためになるのであれば、南都銀行より規模の大きい地銀グループとの経営統合に踏み切ることも選択肢にありますか。

次ページでは、南都銀行より規模の大きい地銀グループとの経営統合を判断する際に重視する条件や、池田泉州・滋賀アライアンスに加わる可能性、「1県1行」を超えた「1エリア1グループ」時代が到来するシナリオに加え、南都銀行が刷新する営業戦略の全貌を聞いた。