企業選びは依然「給与重視」
しかし現実とのギャップも
企業を選ぶ際に重視する要素では、「魅力的な給与と福利厚生」が59%でトップとなり、例年と変わらない結果となった。これに「職場の雰囲気の良さ」(49%)、「ワークライフバランス」(49%)が続く。
出所:ランスタッド拡大画像表示
しかし、現在勤めている企業に対する評価では、「雇用の安定」や「ワークライフバランス」が高く評価される一方、「給与と福利厚生」は7位にとどまった。
つまり、働き手が最も重視している報酬面について、企業側は十分に期待に応えられていないという構図が浮かび上がった。企業にとっては、賃金や福利厚生の見直しが人材確保・定着の重要なポイントとなりそうだ。
調査では、世代ごとの価値観の違いも鮮明になった。象徴的なのが「雇用の安定」に対する考え方だ。雇用の安定を重視する割合は、X世代では53%だったのに対し、Z世代では38%にとどまった。
若い世代ほど、「会社が一生守ってくれるとは限らない」という認識が強い。そのため、企業に長く勤めることよりも、学習や成長を通じて自らの市場価値(エンプロイアビリティ)を高めることを重視している。
こうした背景から、Z世代は「学習・成長の機会」や「透明性の高いコミュニケーション」を重視する傾向が強い。従来型の終身雇用を前提とした安定観から、自らキャリアを切り開くための能力開発へと価値観が移行していることがうかがえる。
離職理由にも世代差が見られた。ミレニアル世代は「ワークライフバランス」を理由に転職を考える割合が最も高く、Z世代は「報酬不足」への不満が強い。一方で、年齢が高い世代ほど「仕事内容への興味の低下」や「職場環境の悪化」を重視する傾向がみられた。
リモートワーク普及を阻む
「職務設計」の壁
調査は、日本企業が抱える構造的な課題も示している。少なくとも一部の時間をリモートワークで働いている人は約2割にとどまり、リモートワークは依然として一般的な働き方とは言い難い状況だ。
リモートワークを実施していない理由として最も多かったのは、「職務上不可能」(44%)だった。
これは、多くの企業で業務そのものが現場勤務を前提に設計されていることを意味する。単に制度を導入するだけではなく、業務プロセスや役割分担を含めた「職務設計」の見直しが進まなければ、リモートワークの普及は難しいことが示された。
今回の調査からは、日本の働き手の価値観が大きく変化していることが見て取れる。
企業選びでは依然として給与や福利厚生が重視されるものの、離職理由ではワークライフバランスが初めて首位となった。また、若年層を中心に、会社への依存ではなく、自らの成長や市場価値向上を重視する傾向も強まっている。
人材不足が深刻化する中、企業には給与改善だけでなく、働きやすさや成長機会の提供、柔軟な働き方を実現する職務設計など、総合的な雇用価値の向上が求められている。今後の人材獲得競争では、こうした「働く人の期待」にどこまで応えられるかが大きな分かれ目となりそうだ。









