政策金利1%の家計プラス効果は「年1兆円」、高齢世帯は4万円プラスも住宅ローン抱える20・30歳代は4万円の負担増Photo:SANKEI

政策金利30年ぶりの「1%」
利上げペース加速の可能性も

 日本銀行は6月15、16日に開いた金融政策決定会合で、政策金利をこれまでの0.75%から1%に引き上げることを決めた。日本の政策金利が1%になるのは、1995年9月以来、約31年ぶりのことだ。

 日本の金融政策が大きな節目を迎えたわけだが、先行きの経済・物価動向を踏まえると、1%の政策金利はあくまで通過点に過ぎないだろう。

 決定会合後、入院中の植田和男総裁に代わって会見した内田眞一副総裁も、「景気下振れリスクはひところより低下したが、基調的な物価上昇率が(物価安定目標の)2%を超えて上振れするリスクに配慮する必要がある」とし、「引き続き緩和の度合いを調整していく」と利上げ継続の姿勢を示した。

 中東情勢は米国とイランの間で戦闘収束の合意覚書が19日に正式署名される見通しだが、原油価格高騰などの価格転嫁の動きはなお続く。日本のインフレ率が夏場にかけて加速すると、実質金利(政策金利-消費者物価上昇率)が一段と低下し、為替市場で円安圧力が強まりやすい環境になる。日銀は円安によるインフレ率のさらなる上振れを警戒し、2026年後半以降にコンスタントな利上げを行うと予想される。

 注目されるのが先行きの利上げペースだ。これまでの利上げ実施時期の間隔は、24年3月のマイナス金利政策解除から0.25%への利上げ(2024年7月)までが4カ月間、そこから0.5%への利上げ(2025年1月)までが6カ月間、さらに0.75%への利上げ(2025年12月)までが11カ月間、そして今回の1%への利上げまでが6カ月間だ。

 25年以降は「6カ月に1回」以上の間隔だったが、今後はインフレへの対処を考慮すると、「3カ月に1回」程度へ利上げペースが加速する可能性も十分ある。

 利上げの最終到達点は、いわゆる中立金利(金融緩和でも引き締めでもない、景気・物価に中立的な政策金利水準)の下限が1.5%程度と考えられることを踏まえると、日銀は少なくともこの水準まで利上げを継続するだろう。

 家計・企業に生じるプラス・マイナス両面の効果を試算すると、今回の0.25%幅の利上げで、家計は預貯金の利子収入の増加などで年間1兆円プラス効果が見込まれる一方で、企業の経常利益は同1.1兆円の減少が見込まれるが、今後、日銀が政策金利を1.5%まで引き上げた場合に、家計では住宅ローンなどを抱える若年層、企業では中小企業への影響などが懸念される。