162円台後半まで下落し、1986年12月以来の最安値を記録162円台後半まで下落し、1986年12月以来の最安値を記録=7月1日 Photo:JIJI

ドル円、1ドル162円台に加速
教科書的な円高にならない理由

 日本銀行は6月の金融政策決定会合で政策金利を31年ぶりの水準の1%まで引き上げ、その後も利上げを続けるとの見方が大勢を占めている。

 過去数年にわたって物価上昇と賃上げが継続していることに加え、3月以降は、中東情勢悪化、ホルムズ海峡封鎖による原油価格上昇などが、物価を押し上げている。5月の輸入物価指数は前年同月比+25.5%、企業物価指数も同+6.3%と大きく上昇した。

 こうしたコストの上昇は、ラグを伴って消費者物価にも波及するとみられ、日銀がさらに追加の利上げを模索する環境は整いつつある。

 だが6月の利上げでも円安の抑制は実現せず、ドル円は6月30日には1ドル162円台と、1986年12月以来約39年半ぶりの円安水準となり、むしろ円安基調が続く状況だ。

 教科書的には、日本の金利上昇は円債の投資妙味を高めるため、円買い(=円高)要因となる。しかし、実際には逆のことが起こっている。

 特に2025年10月以降、金利上昇と並行して円安が進展する局面が目立つ(図表1)。同年10月の自民党総裁選で、財政拡張路線を掲げた高市早苗氏が勝利し新総裁に就任したタイミングから円安と金利上昇が進展したため、財政悪化懸念の高まりを背景とした日本売りが起きているとの主張も散見される。

 しかし、足元の円安・金利上昇を日本売りと整理するのは難しいと、筆者は考えている。仮に日本財政への信認が低下しているのであれば、円安・金利上昇とともに、株安も進んでいるはずだ。

 だが日本株は活況を続けている。

 では、円安・金利上昇の要因は何か?その鍵は、期待インフレ率の上昇だ。