日本銀行Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

6月会合で政策金利1%に引き上げ
企業間取引の価格転嫁の加速、波及を警戒

 日本銀行は6月15日、16日に開いた金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレートオーバーナイト物の誘導金利)を25bp引き上げ、1%とすることを賛成多数(7対1)で決めた。

 利上げは、昨年12月以来で、植田和男総裁の下、金融政策の正常化に取り組んで以来5回目の利上げとなる。

 今回の決定については事前の多くのメディアで「予測報道」があり、金融市場でも、4月会合での政策金利の現状維持につながった米国、イスラエルのイラン攻撃直後に国際金融市場の動揺が収束したことや、ドル円レートが5月の大型連休中の大規模な円買い介入にかかわらず、160円台に円安が再び進んだことを背景に、利上げの必要性が広く共有されており、予想通りの結果といえる。

 焦点となったのは、日銀が今後の利上げについてどう考え、どう説明するかだった。

 病気の治療のため会合を欠席した植田和男総裁に代わり、内田眞一副総裁が決定会合後の会見を行うことになったため、説明内容が前回の植田総裁の会見とニュアンスが異なった場合に、それが日銀による組織的な方針変更なのか、それとも個人的な考えも反映されたことによる違いなのかを識別することが難しくなる恐れもあった。

 この心配は杞憂に終わったが、会見で示された日銀の利上げロジックは、物価上振れリスクへの対応を前面に出したものとなった。

 内田副総裁は会見で「(4月の)前回会合以降、中東依存度の高い原材料の代替調達が進んだことなどから、ひところより経済が大きく下振れするリスクが低下している」と語り、その一方で「原油価格の上昇を起点に企業間取引の価格転嫁がやや早く進んでおり、幅広い品目に波及していく可能性がある」とした。

 中東情勢緊迫やホルムズ海峡封鎖に原油価格高騰の下で、物価の上振れリスクとともに経済の下振れリスクの両にらみの姿勢を取ってきた日銀の利上げロジックが変わり始めたといえる。

 だが、金利正常化のペースを考えるうえで、ロジックの変化は新たな課題を生むことになる。