重工・機械 成長への羅針盤Photo by Shintaro Iguchi

日立建機が新興国向けに今後、展開する新ブランド「WIXIM(ウィクシム)」の製造を、中国メーカーが担うことがダイヤモンド編集部の取材で判明した。連載『重工・機械 成長への羅針盤』の本稿では、東南アジア市場で激しいシェア争いを展開している“宿敵”と、日立建機が手を組むに至った裏事情を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)

社名変更を前に大胆な一手
中国メーカーとの競争が新局面に突入!?

 日立建機は4月、新興国向けの新ブランド「WIXIM(ウィクシム)」を立ち上げると発表した。地域によって建機の需要が多様化する中で、主力の油圧ショベルやダンプトラック以外の需要に応えるのが狙いだ。非主力の製品を提供していくに当たり、生産を委託するパートナー企業をどこにするかが注目されていた。

 日立建機はOEMで供給を受ける相手先を明らかにしていない。ただ、関係者によると、第一弾として手掛ける東南アジア市場向けの製品は中国メーカーに委託する。日系メーカーが中国メーカーの建機を自社の販売網で売ることになれば、日本の建機業界にとっても大きな転換点となりそうだ。

 日系メーカーにとって中国メーカーは、かつて日本勢の牙城だったアジア市場で、急速にシェアを拡大しているライバルだ。三一重工や徐工集団、中聯重科といったメーカーの台頭とともに、日系メーカーのアジアでの存在感は低下している。

 建機メーカーのドル箱となっているインドネシア市場でも、中国メーカーの勢いは止まらない。例えば、同国でコマツ製品の販売代理店を担っているユナイテッド・トラクターズの開示資料によると、コマツのシェアは2023年9月時点で31%だったが、下落傾向が続き、直近の26年1~3月期では18%まで低下した。日立建機のシェアは25年8月時点で「油圧ショベルに限れば15%超」だったが、中長期的には苦戦しているとみられる。

 インドネシア市場を巡る中国メーカーとの競争激化については、『コマツの「ドル箱」を中国企業が浸食!油圧ショベル2000台の大型調達案件の半数を納入…日系vs中国シェア争い最前線』『コマツ&日立建機と中国メーカーが激突!「インドネシア建機市場」最新情勢、日系メーカーはシェアを死守できるか?』で詳報している。

 中国勢は日本市場の開拓すら探っている。千葉市の幕張メッセで開かれる国際建設・測量展では近年、徐工集団や中聯重科がブースを出展しているのだ。

写真:千葉市の幕張メッセで開かれた国際建設・測量展で展示される徐工集団の油圧ショベル千葉市の幕張メッセで開かれた国際建設・測量展で展示される徐工集団の油圧ショベル Photo by S.I.

 中国メーカーと提携して展開する日立建機の新ブランドは、削られてきたシェアを維持、奪還する打開策となるのだろうか。

 次ページでは、日立建機がここに来て大胆な“攻めの一手”を繰り出した裏事情と、社内のリアクション、施策の成否を分ける課題を明らかにする。