Photo:Bloomberg/gettyimages
建設機械や鉱山機械は対米輸出の有力産業で、コマツと日立建機にとって米国は極めて重要な市場だ。だが、今期はトランプ関税の影響をフルで受けることになる。特集『エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】』の本稿では、日本勢2社と世界首位の米キャタピラーのキャッシュ創出力や資本効率を徹底比較。関税負担をどれだけ和らげられるかを左右する値上げの余地も検証する。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
キャタピラーは1年で株価3倍!
コマツ、日立建機を関税が直撃
トランプ関税の逆風は、自動車だけでなく建設機械にも及んでいる。建機は自動車ほど一般には注目されないが、実は日本の対米輸出を支える有力産業だ。政府統計によると、2025年の建機・鉱山機械の対米輸出額は8257億円で、日本の対米輸出総額の4%を占める。
米国市場はコマツや日立建機など日本の建機大手にとって売上高の2~3割を占める重要な市場だ。鉱山、インフラ、住宅、エネルギー関連など、世界最大級の需要を抱える北米で稼げるかどうかは収益を大きく左右する。
その北米市場で鉄鋼・アルミ関税の負担が重くのしかかる。25年度は関税適用前に積み上がっていた在庫によって、損益への影響は一定程度緩和された。いわば、25年度の関税影響はまだ「序章」だったのだ。通期で関税コストが乗ってくる26年度こそ、コマツと日立建機にとって本当の正念場となる。
問題は、関税という追加コストが加わる前から、日本勢が業界首位の米キャタピラーとの間に資本効率で大きな差があることにある。
株価には期待の差が如実に表れている。過去5年の推移を見るとキャタピラーが突出して上昇し、直近1年では3倍になっている。キャタピラーは建機や鉱山機械だけでなく発電機やエンジンも手掛けていて、データセンター向け需要が急拡大している。
一方で、コマツと日立建機は26年4月以降は上値が重い。関税影響が本格化する中、市場は稼ぎ続けられる資本効率と、データセンター需要のような新たな成長ドライバーの有無を織り込み始めているといえる。
重要な輸出産業である建機。日本勢の2社はキャタピラーに追い付くことができるのか。次ページでは、最新決算と、過去5年の棚卸資産回転日数とフリーキャッシュフロー(FCF)から、キャタピラーと日本勢の資本政策、資産効率、キャッシュ創出力の差を明らかにする。さらに、「関税下で生き残るために米国で値上げをすることはできるのか」を詳細に検証する。







