わが子がもっと伸びる! 中高一貫校&塾&小学校【2027年入試版】#15

多くの塾は「難関校の合格実績」を目立つようにウェブサイトに掲載する。だが、保護者としてはその塾の中位層、下位層がどの学校に合格、進学しているかも知りたいのが本音である。そこで今回は特別に希学園首都圏にデータを提供してもらい、「全生徒別の合格校一覧」を完全公開。特集『わが子がもっと伸びる! 中高一貫校&塾&小学校【2027年入試版】』の#15では、男子編を紹介する。偏差値帯別の合格校や具体的な併願戦略についても、首都圏学園長の山﨑信之亮氏に解説してもらった。(構成/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

全生徒の合格実績を完全公開!
中位や下位クラスで届く学校は?

 塾内で成績が真ん中の子や下位の子は、どんな学校を受験して、どんな学校に合格したのか?――。

 昨年、大反響を呼んだ希学園首都圏の「全生徒別の合格校一覧」。生徒別の合格校は外部からは知ることが難しく、塾側の目線で併願戦略を解説した記事は少ないからである。

 多くの中学受験塾では、ウェブサイトやチラシに塾生の合格実績を掲載しているが、「御三家合格者○○人」など「難関校への合格実績」を強調するのが一般的である。「難関校への合格実績」こそが、中学受験塾を選ぶ家庭に対して最大のアピールポイントとなるためだ。

 だが、どんなに難関校に強い塾であっても全員が御三家や早慶などの難関校に合格するわけではない。在籍した生徒の全合格校を掲載している塾であっても、上位クラスの生徒が複数校に合格しているケースもある。わが子の塾選びでは、その塾の中位層、下位層がどの学校に合格しているかも知っておくべきだろう。

 ただし、クラス別の合格校は外部からは分からないケースが多い。個人単位の合格校や併願戦略に至っては知ることすら不可能に近い。

 そこで昨年に続き希学園首都圏に特別にデータを提供してもらい、全在籍者の2026年入試の全合格校データを完全公開。偏差値帯別に合格校を解説していく。

 偏差値は母集団によって数字が異なるが、希学園の偏差値はSAPIX偏差値と似た水準で、母集団のレベルが高い分、数字が低く出やすいのが特徴だ。偏差値は、希学園の公開模試の小学6年生の平均偏差値を使用している。

 今回は前編として、男子の偏差値65以上の最上位層から、偏差値40未満まで七つのゾーン別に解説する。わが子が「どのクラスにいれば、どの学校を狙えるのか」が具体的に見えてくるはずだ。

 それでは希学園首都圏学園長の山﨑信之亮氏に、偏差値帯別に男子生徒の合格校と併願戦略を解説してもらおう。

男子は偏差値50台前半からも
麻布、海城、慶應中等部に進学

 26年は在籍199人のうち、198人が合格を勝ち取りました。希学園では塾生の結果を隠すことなく公開していますが、残りの1人も進学を確保した上で挑戦した結果です。全ての子について進学先の選択肢がない「全落ち」を回避することができました。

 希学園の進路指導会議は、全講師を集めて一日を使って行っています。志望校を決める面談では、ご家庭の方針を尊重しつつ、満足度が高く確実に合格を取れる併願戦略をアドバイスします。

 最終的に受験校を決めるのはご家庭ですが、「学力」「性格・校風」「将来像」「入試問題との相性」「自宅からの距離」などを総合的に考慮して、私どもから提案することもあります。

山﨑信之亮・希学園首都圏学園長やまさき・しんのすけ/1986年生まれ。希学園関西で中学受験を経験し、灘中に進学。東京大学在学中から希学園首都圏で講師として指導に携わる。2016年に希学園首都圏の学園長に就任。現在も国語科専任講師として教壇にも立つ。論理的な国語解説と生徒・講師の双方向発信による活気あふれる授業を信条とする。Xのアカウントは@yamasakinozomiE

 塾のレベル感としては、26年は偏差値50台前半からも麻布、海城、慶應義塾中等部に進学する子が出ました。成績的に中位、下位の子にも丁寧にフォローしていきます。

 まずは全体の結果からお伝えしましょう。大前提として、今回は偏差値や学力面を中心に併願戦略を解説していきます。

 6年生の12月時点に決めた第1志望校に合格した割合は4割程度です。私どもは「第ゼロ」志望校と呼びますが、第1志望校のさらに上の学校に金星を挙げた子も10%強います。

 合計すると、第1志望校以上に合格した子が50%強になります。第1志望校はいわゆる「持ち偏差値」よりも5程度上のことが多く、第ゼロ志望校はプラス10以上高い学校です。持ち偏差値は6年生後半の模試の平均偏差値(合格確率80%偏差値)を使用します。

 持ち偏差値前後の学校に進学する子は3割程度です。5~10%程度が持ち偏差値よりも3以上低い学校に進学します。

 本音では全員に金星を取ってほしいというのが塾側の希望ですが、世の中は甘くありません。勝負の世界ですから厳しい結果になることもあります。一方、併願戦略をきちんと組んでいるので、この成績だったら、ここは死守してほしいという部分については、ほぼ想定通りに着地することができました。

 それでは男子118人の合格実績から紹介していきましょう。

 まずは最上位の偏差値65以上のゾーンです。希学園では偏差値別に最上位のS0からS9まで10段階のクラスを設定していますが、偏差値65以上の子たちはS0常駐組です。

 基本的にこの偏差値帯の子は「最難関群」に受かります。もっと言えば「全勝」が期待できる子たちです。

 実際、このゾーンからは10人が開成に受かりました。近年、御三家の中でも開成が抜けた存在になっており、男子トップ層は2月1日午前に開成を受けることが定番になっています。

 このゾーンでは1月の受験は渋谷教育学園や灘が定番になります。26年も11人のうち、1月受験で渋谷教育学園幕張に9人が合格。灘については回避する子も多いのですが、5人が合格しました。

 ただし、灘の場合、順当に受かるためには、この偏差値帯にいないと厳しいですね。また、近年の傾向としては、いわゆる「三冠王(筑波大学附属駒場、開成、灘の3校に合格すること)」にこだわる子は減っています。

 前述のように、入試ですからこのゾーンの子でも波乱は起こります。1月に渋幕を進学前提で合格しているものの、開成、聖光学院(1回目)が残念だった子もいます。

 普段通りであれば、悪くてもどちらかには受かる子なので、正直、これは大波乱でしたが、きっちり2月4日の聖光学院は取ってきてくれました。渋幕を取っていたことが支えになったはずです。この水準の子でも1月に進学先を確保しておくことは重要といえるでしょう。

 男子の御三家は合格発表が2月3日です。もし渋幕がなかったら4日は芝の受験を検討していたと思います。併願戦略は最悪を想定したプランも用意しておくべきです。

 補足すると、最難関の筑駒は25年に続いて難しかったですね。このゾーンでも勝率は5割程度です。聖光学院も年々難しくなっています。

次ページでは引き続き希学園首都圏の全生徒別(男子)の合格校データを公開。意外なジャイアントキリングを含めて、どの偏差値帯からどの学校に受かっているかを解説する。特に中位クラス、下位クラスの合格先は外部から知ることは難しいデータなので必見だ。また入試期間中の受験校の変更など、入試直前や入試期間中のリアルや、偏差値帯別に期待値を最大化する併願戦略のポイントについてもお届けする。