Photo by Koyo Yamamoto
ホンダのサプライヤー政策で唯一の例外が、アステモだ。ホンダは6月中をめどに子会社化する。実は両社は、自動運転を巡って身内でありながらライバルであるという「近親憎悪」の関係にあった。子会社化で、このグループ内競争は解消できるのか。特集『自動車 解体』の#5では、その知られざる実態と、ホンダの開発風土の課題を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
唯一の例外のアステモ
ホンダは資本・人事でグリップ強化
ホンダは、2040年までに新車販売を電気自動車(EV)と燃料電池車へ全面シフトする「脱エンジン宣言」を21年に掲げて以降、内燃機関を中心に手掛けるケイレツサプライヤーの整理を進めてきた。
子会社の旧ホンダロックをミネベアミツミに、旧八千代工業とユタカ技研をインドのマザーサンにそれぞれ売却した(サプライヤー再編の詳細は、『ホンダが「出資比率引き上げ」を視野に入れるサプライヤーの名前とは?日産との提携のカギを握る超重要企業、大ナタ振るうケイレツ再編“次の一手”』参照)。
5月に発表した中長期経営方針では、「脱エンジン宣言」の撤回を表明したものの、サプライヤー政策の方針は「変わらない」(ホンダ幹部)という。ケイレツ離れを進めるホンダのサプライヤー政策で、“唯一の例外”となったのが、Astemo(アステモ)だ。
ホンダは1523億円を投じ、日立製作所から株式21%分を取得し、アステモを子会社化する。その後の出資比率は、ホンダが61%、日立が19%、産業革新投資機構(JIC)の子会社であるJICキャピタルが20%となり、6月中に手続きは完了予定だ。
資本だけではなく、人事面でもテコ入れする。4月にホンダの玉川裕前品質改革本部長がアステモのCTO(最高技術責任者)に就任したのに続き、7月には井上勝史前専務が社長に就く。
ホンダがここまでアステモへのグリップを強める最大の理由は、自動運転など次世代技術の開発力を高めるためだ。
実は両社はこれまで、自動運転の開発でグループ内競争を続けてきた。本来ならグループ一体で取り組むべき領域で、非効率な開発競争を続けてきたのだ。この「近親憎悪」の構図こそ、現在のホンダの開発風土を象徴している。
一体、何が起きていたのか。次ページで明らかにする。







