自動車 “最強産業”の死闘 アンケート#2Photo:Johannes Simon/gettyimages

自動車業界で、中国EVメーカーに対する脅威論がいよいよ高まっている。ダイヤモンド編集部は、完成車メーカー、サプライヤー、ディーラーを対象にしたアンケートで、何を脅威と感じ、それにどう対応しようとしているのかなどを聞いた。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『自動車業界350人が明かす“危機の本質”』の本稿では、日本の自動車産業の衰退リスクについての業界関係者の本音を徹底的に解明する。中国製EVに関税をかけるべきだと考える回答者の割合は――。また、来年日本で発売される中国BYDの軽EVが、ヒットするとみるディーラー関係者の割合はいかに。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

日系メーカーの脅威は中国勢のみにあらず
日本の自動車産業の「内」なる敵とは?

 ダイヤモンド編集部は、完成車メーカーやサプライヤーの役員、社員らに、日本の自動車産業の脅威と考えるものを聞いた。選択肢には、米テスラをはじめとした「欧米の自動車メーカー」や「トランプ関税」「中国の産業政策」「日本の技術戦略」「日本の規制・税制」などが含まれていたが、最も回答が多かったのは、中国BYDだった。

「自動車業界アンケート」(下図参照)では、他に、中国製EV(電気自動車)に関税をかけるべきかどうかや、2026年に日本での発売が予定されているBYDの軽自動車のEVがヒットするかどうか、なども聞いた。プライドの高い日本の自動車メーカー関係者は、BYDの商品力を本音ではどう評価しているのか。

 結果から言えば、自動車業界関係者の中国勢に対する危機感はかつてないほどに高まっていることが分かった。次ページでは、メーカーやディーラーの役員、社員らに、日本の自動車産業の衰退危機の本質を明らかにしてもらう。

 実は、自動車業界の脅威は、中国や米国ばかりではない。日本政府の産業政策や技術戦略も含めて、国内にも大きな衰退要因があることが分かった。

図表:メーカー関係者が考える日本の自動車産業の脅威ランキング