中国自動車大手チェリーら出資の新ブランド「EMTA」が軽EVで日本参入!社員3分の1が日産OB、標的を「非EVユーザー」に据える理由Photo by Koyo Yamamoto

中国自動車大手・チェリーらのEV(電気自動車)は、日本市場を切り崩せるのか。中国自動車大手チェリーなどが出資するEMTが、2027年にも軽EVで日本市場に挑む。だが、メインの顧客ターゲットは、EVユーザーではないという。特集『自動車 解体』の#6では、EMTの何暁慶CEO(最高経営責任者)と打越晋CMO(最高マーケティング責任者)を直撃。ターゲット戦略や投資回収の考え方など、挑戦者の知られざる戦略を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

中国系3社と日系2社が出資
社員の「3分の1」が日産出身

――EMTは、日本向けEV(電気自動車)ブランド「EMTA(エムタ)」を立ち上げました。EMTはどのような会社なのでしょうか。中国系3社で出資比率の7割強を占め、筆頭株主のチェリーは中国を代表する自動車メーカーです。何暁慶CEOはチェリーの副社長も歴任し、「チェリーによる日本進出」との見方があります。
(編集部注:出資比率はチェリー27%、生産を担うユエダグループ27%、バッテリーメーカーのゴーション18% 、販売を担うオートバックスセブン18% 、産業機器メーカーのアネスト岩田9%)

何CEO EMTは5社の共同出資によって2024年にスタートしたプロジェクトです。

 チェリーが株主として参画しているため、「チェリーの日本進出」と受け止められるかもしれませんが、そうではありません。EMTはチェリーとは完全に独立して運営されています。

 一般的に、自動車メーカーが他社と連携する場合、パートナーは1社にとどまることが多いと思います。2社と組むことも珍しいです。チェリーのような自動車メーカーが4社ものパートナーと組むことは、異例のことだと思います。

――EMTの社員28人のうち、約10人が、日産自動車出身と聞いています。経営陣4人のうち、山本浩二CTO(最高技術責任者)、打越晋CMO(最高マーケティング責任者)も日産出身です。

何CEO 日産出身のメンバーが多いのは、EMTが日産と同じく横浜に本社を構えていることも理由の一つでしょう。本社が中国・深圳にあれば、(深圳に本社を置く)BYD出身者がたくさん来たかもしれません。上海であれば、上海汽車集団出身者が多かったかもしれません。日産出身者を意図的に採用したわけではなくて、EMTの事業に共感してくれた方々を採用した結果です。

新生EMTは、日本市場でどう勝負するのか。なぜ、あえて軽EVで参入するのか。新ブランド「EMTA」をどのように浸透させていくのか。次ページでは、何CEOと打越CMOが日本市場攻略のシナリオを明かす。