G20で会談した米国のベッセント財務長官と日本銀行の植田和男総裁 写真:ベッセント財務長官のXより
「協調」から日本への「要望」の色彩強まる
円安や長期金利上昇の米国への波及を懸念
ベッセント米財務長官による、日本銀行の利上げ支持や日本の長期金利上昇に言及するなどの発言がこのところ目立って増え、かつその口調がかなり明白に変化している。
7月末の日米での円買い協調介入の直後には、「円の安定は米国だけでなく地域全体にとっても非常に重要」「米国が介入参加を決めたのは、(日本の)政策方針について非常に楽観的だからだ」と、日米の連携を強調する物言いだった。トランプ大統領も、「友情の証し」という言葉を使い、日本サイドからは三村淳財務官から「日米通貨同盟の完成形」といった言葉も発せられた。
だが、その後8月末からの発言は、「アベノミクスは成功裏に終わり、その成果を享受すべきだ」「日本政府と日銀は円高につながる行動を取ると信じている」「日本は財政健全化への道筋を示すべきだ」「日銀には決定的な金融政策対応を要請」など、日本のポリシーミックス全般に対する「要求」の色彩が強まっている。
さらに直近9月8日のテキサス州の大学でのイベントでは、「胴元は自分だ。望むなら反対に賭けて見てはどうか」と市場関係者への挑発に近いところまでボルテージが上がっている。
もともと協調介入の時から、日本に対する“協調姿勢”が必ずしも友情から出たものではないとの指摘は多かったが、その後の発言を見ると、やはりトランプ政権自身の「思惑」が垣間見える。
ドル円相場と日本の国債市場の安定は米国にとっても切実な問題だ。
とりわけ中間選挙が11月に迫る中、イランとの戦闘長期化による原油価格の高止まりなどからインフレ再燃の気配も見え始めている。
日本政府の円安放置や積極財政路線などによる長期金利上昇が米国債の金利上昇(価格低下)に波及する懸念から、ベッセント財務長官としてもおいそれと退くわけにはいかない事情がある。







