「インフレ期待」安定化なければ長期金利「3%」は単なる通過点!?財政不安回避、物価目標着地の鍵にPhoto:SANKEI

10年国債利回り「30%」、30年ぶり高水準
世界の長期金利上昇に日本もキャッチアップ!?

 9月1日の国内債券市場では、長期金利の指標となる新発10年国債利回りが、前日の2.950%からさらに上昇して、3%の大台に乗り1996年10月以来30年ぶりの高水準になった。

 市場は、日本銀行の利上げペース加速や、高市政権の積極財政で、財政規律の弛緩やインフレが進むことを懸念しているようだ。今後も長期金利の上昇は続くことになるのか。

 長期金利の上昇は日本に限ったことではない。2022年ごろからのグローバルインフレに伴い、世界中の長期金利が大幅に上昇している。

 新型コロナ禍からの景気回復やその後の供給制約、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油相場急騰などにより多くの国でインフレが高進したことが背景にある。

 だが、日本の長期金利だけがかなり異なる動きをしているのが目立つ。上昇し始めたのは、24年からと他国とは時期が遅れている一方で、ここ一年の変動幅を見る限り、上昇率はOECD加盟国の中では日本がダントツの1位だ。

 24年3月までは、日本銀行が異次元緩和を続けるなど、他国に比べて金利が過度に抑えられていたことを考えると、グローバルインフレを反映していち早く上昇した海外の長期金利に、日本の長期金利がようやくキャッチアップしてきたとみることができる。

 であれば、このところは長期金利が2%台後半から3%台後半の国のグループに取り込まれた感のある日本の長期金利はそろそろ落ち着くのだろうか。

 注意が必要なのは、インフレ期待(予想)の高まりだ。名目賃金の伸びや消費者物価の上昇率が今の状況が続けば、筆者の試算では、インフレ期待は、3%に近づくことが予想され、これに潜在成長率を勘案した長期金利の水準は4%になってもおかしくない。

 日本銀行は、「物価の上振れリスク」を念頭に、9月17、18日の金融政策決定会合で追加利上げを決める公算が大きいが、長期金利の一層の上昇を回避するには、財政規律弛緩への市場の警戒感を抑える取り組みとともに、日銀は9月利上げの後もインフレ期待の抑制を見据えた機動的な追加利上げを躊躇すべきでない。