Photo by Masato Kato
日本最大の発電事業者で、世界最大級の液化天然ガス(LNG)取り扱い量を誇り、世界最大級の洋上風力発電事業会社JERA Nex bp(英bpとの合弁会社)を傘下に持つJERA(ジェラ、東京電力ホールディングスと中部電力の合弁会社)。三菱商事は国内洋上風力開発案件から撤退したが、JERAは本当に最終投資するのか。特集『総予測2026』の本稿では、奥田久栄社長CEO(最高経営責任者)兼COO(最高執行責任者)が本音を明かすとともに、世界と日本のエネルギー業界展望を語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
データセンターバブルで
電力が再び成長産業へ
――2026年の業界展望からお聞かせください。
日本の電力を中心にお話しすると、データセンターをはじめとするデジタルデマンドが非常に強くなっており、電力が再び成長産業になるという認識が社会全体に広がりつつあります。これは、何十年かぶりの大きなビジネスチャンス。その一方で、電力を作るための燃料や発電資機材の調達に目を向けると、これは間違いなく、世界的な分断の影響が出てきています。ドナルド・トランプ米大統領による関税の影響もあって非常に不安定な環境です。
従って需要側を見ると非常にポジティブな材料がそろっている半面、調達側にはさまざまな懸念材料があります。現状、リスクとして顕在化しているわけではありませんが、顕在化した場合は経営に非常に大きなインパクトを及ぼします。来年度もかなり緊張を強いられる事業運営になるのではないでしょうか。
その中でJERAはどうするか。世界の分断の影響がある中でもグローバルに燃料を調達して、数量を調整できる仕組みをグループ全体で持っていますので、そういったリスクに対して備えています。
加えて、日本の場合は老朽化した火力発電所がなかなか建て替わらないという問題があり、デジタルデマンドに対して制約要因になってしまうのではないかという懸念もあります。それに対してもJERAは相当果敢に取り組んできています。老朽火力の入れ替えを先取りして実施しているため、強みになってくるのではないでしょうか。
――26年の世界の地政学リスクについてはいかがですか。
定義が難しいのですが、二つあると思います。一つはロシアのウクライナ侵攻や中東情勢に代表されるように、政治的な対立で世界の経済がさらに分断されていくリスクです。もう一つは、トランプ関税に代表されるように、1990年代から当たり前のようにあった自由貿易圏の進展に伴って拡大してきたグローバリゼーションが、ターニングポイントを迎えていることです。その二つの意味で地政学リスクを把握しています。
この影響は、26年度も大きなリスク要因として残るでしょう。一方でリスクとして捉えているだけではなく、新しい秩序を作り直すタイミングに入ったと考えています。つまり、新しいビジネスチャンスも生まれてくるというわけです。
米国をはじめ政治的分断が進む中で、今後のエネルギー関連投資の方向性はどうなるのか。また、三菱商事が開発から撤退したことで電力業界の懸案となっている国内洋上風力発電の行く末について、奥田久栄社長が赤裸々に本音を語った。







