ビジョンを決める1つの方法
これら、「成し遂げたいこと」「目標」「美学」の3つが矛盾なくがっちりとかみ合っているビジョンとなったとき、それは苦しいときも迷ったときも進むべき方向を指し示してくれる精度の高い羅針盤となるでしょう。
しかし、ビジョンが固まりきっているケースばかりではないと思いますし、逆に事業や市場の実態を知らないままビジョンだけ決めてしまうと頭でっかちになり、実態に合わない形で自分達を制約してしまったり、まったく羅針盤の意味をなさないものになってしまったりします。そんなときは、なんとなくでもよいので自分達がやりたいと思える事業をやってみるとのも手です。
やりたいと思うからには、その水面下に本質的な想いが確かに存在するはずです。事業をやりながら、ラーメン代を稼ぎながら、とにかくやってみる中で、自分達の想いの純度を高め、言語化する作業をしていくというのも1つのやり方です。前述の例で言うと「モバイルソーシャルゲームをやりたい!」と思うということは、その根底に「ゲーム」なり「モバイル」なり自分達の本質的な想いが必ずあります。走りながら、意識的に自分達のビジョンについて結晶化する時間を作るとよいでしょう。
ただし、そのときに気をつけなければならないのが、短期的なラーメン代を稼ぎに没頭しすぎたり、目先の「小さな勝ち」を積み重ねていくのが気持ちよくなりすぎて、長期的なビジョンが必要だという意識がまるっきり抜けておちてしまわないようにすることです。短期的な結果を出しながらも、常に頭の片隅で長期ビジョンのことを考え続ける。これは、リーダーたる経営チームの大事な役割です。経営とは、色々な矛盾の中でバランスを取りながら、安易にトレードオフとなることを受け入れないことです。
とは言え、日常業務の中では、「次の日どうするか?」という短期視点に囚われがちです。そんなときは、意識的に経営チームの中で長期的な視点を考えるCEO的な役割と、日々の業務を回るCOO的な機能に役割分担をしたり、半年か1年に1回程度、経営メンバーで合宿をするのもよいでしょう。合宿では、オフィスを離れた非日常的な空間で、なるべく日常業務を忘れられる状況を作るがミソです。
※次回は8月27日に公開予定です。