また、2009年9月にサービスを開始したhow toサイトのnanapiは、2012年には月間訪問者数2500万人を超えるまでに成長しています(まだまだ通過点ではありますが)。
実はここに至る過程では、外部から調達した資金を元手にコストをかけてhow toの記事を作れど作れど訪問者数などのサイトの数字がじわじわとしか伸びない苦しい時期が1年半くらい続きました。それは、精神的にとてもシンドイ時期で、事業モデルを転換して受託や営業力にものを言わせた広告収入で短期的に収益を上げる誘惑もありました。しかし、その間苦しくても踏ん張り、ひたすらhow toのコンテンツを作り続けられたのは「できることをふやす」というビジョンのもと、世界最大のhow toのデータベースを作ることは社会的に価値のあることだ、ユーザのためになることだと信じたからです。正しい、正しくないを超えてもはや宗教に近いノリです。実際社内では「how toのデータベースは人類の資産になる」という言葉まで飛び出しています。
ビジョンは、自分達で信じ込め、信じ込めたからこそやり抜ける、そして結果として伸びたらしてやったり、伸びなくてもやり切ったから納得というくらい振り切ったものであることが重要なのです。
その2「目標」
目標については、サッカーの元日本代表の岡田監督が非常に共感することを言っています(参照)。
明確な目標はもちろん「W杯本大会でベスト4入ることに本気でチャレンジしねえか」ということ。みなさんはいろんな成功の書とか読んで「目標設定って大事だ」と思っているでしょうが、今みなさんが思っている10倍、目標は大事です。目標はすべてを変えます。W杯で世界を驚かすために、パススピードを上げたり、フィジカルを強くしたりと、1つずつ変えていくと、かなりの時間がかかります。ところが、一番上の目標をポンと変えると、オセロのように全部が変わります。「お前、そのパスフィードでベスト4行けるの?」「お前、そんなことでベスト4行けるのか?」と何人かの選手にはっきりと言いました。「お前、その腹でベスト4行けると思うか?」「夜、酒かっくらっていて、お前ベスト4行ける?」「しょっちゅう痛い痛いと言ってグラウンドに寝転んでいて、お前ベスト4行けると思うか?」、もうこれだけでいいんです。
要するに、1000億円会社を目指すのと、10億円の会社を目指すのとでは、最初からやり方が違うということです。10億円の会社の延長線上に1000億円はありません。10億円の会社を目指すなら受託事業の積み上げで、または市場の規模や成長性はそれ程ないが競争が緩い市場をターゲットにすれば手堅く達成できるかもしれません。
でも、1000億円を狙うとなると、花形市場の誰しもが狙う大金脈をターゲットにする、または超強力な寡占企業をひっくり返しにいかなければいけないかもしれません。目標としている目線こそが自分達の上限を決めてしまうのです。勝てる、勝てない、可能性がある、ないではなく、これくらいの高みを目指すのだという自分達の意志表明にほかなりません。