オーナー企業「上場1885社」全序列【2026年版】#12

ガバナンス不全やワンマン経営といった負の側面に注目が集まることが多いオーナー企業。だが株主や取引先、社員などステークホルダーからの厳しい視線を感じながら奮闘する経営者もいる。本特集では、物心ついた頃から家業を継ぐことを周囲から期待されてきた、2人の40代経営者の事例を紹介する。特集『オーナー企業「上場1885社」全序列【2026年版】』の#12では、東日本を中心に廃棄物処理事業を手掛けている非上場オーナー企業、ATホールディングスの堀切勇真社長を取り上げる。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

オーナー経営に向かう厳しい視線
若手の現役経営者はどう捉えているのか

 創業家出身の経営者が株主として君臨し、経営の最前線に立つオーナー企業は、力強いリーダーシップによる急成長が見込めるとして、つい数年前まで称賛されることも多かった。

 実際、オーナー企業(ファミリービジネス)を長年研究しているファミリービジネス白書企画編集委員会(後藤俊夫、落合康裕、荒尾正和、西村公志)の調査によると、オーナー企業は収益性および安全性において、一般企業を上回っていることが明らかになっている。

 2020年度における総資産事業利益率(ROA)では、上場オーナー企業(1292社)が4.88%だったのに対し、上場一般企業(1134社)は4.19%。また自己資本比率は、上場オーナー企業(同)は54.61%、上場一般企業(同)は47.01%だった。

 ところが22年ごろから、実績を上げているにもかかわらず、オーナー企業に対する評価は徐々に変化していった。きっかけは、トヨタ自動車を頂点とするトヨタグループや小林製薬、モーター大手のニデックなど、ブランド力と知名度が高いオーナー企業で不祥事が相次いだことだった。各社の背景にあったのは、オーナー家を中心とした経営陣による行き過ぎた利益至上主義のまん延や、組織内で意見ができない独裁体制が敷かれていたことだった。

 では、実際にこうしたオーナー企業を取り巻く風向きの変化を、現役のオーナー家出身の経営者はどう捉えているのか。本特集では、オーナー経営につきもののワンマン経営やガバナンス不全のリスクと向き合いながら、会社をかじ取りする2人の40代経営者に、詳しく話を聞いた。

 本稿で取り上げるのは、東日本を中心に廃棄物処理事業を手掛けている非上場オーナー企業、ATホールディングスの堀切勇真社長だ。次ページで、創業家出身である堀切社長自らが進める“脱オーナー経営”の手法と、その効果について詳しく聞いた。