米国が中東に原子力空母「3隻目」増派でも“戦争終結”の道筋見えず、ホルムズ・紅海リスクは数年続く11月の中間選挙後にイランへの攻撃再開を示唆する発言をしているトランプ大統領 Photo:Anadolu/gettyimages

トランプ大統領は「攻撃再開」示唆も
輸送回復でも政治的決着は見えず

 米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して、およそ7カ月が経過した。だが、圧倒的な軍事力を通じてイランを短期間で屈服させるという米国の思惑とは裏腹に、戦争はホルムズ海峡の通航をめぐる長期的な消耗戦へと変容し、紅海やサウジアラビアの石油輸出経路にも危機が広がっている。

 10月1日には、米国が新たに原子力空母「セオドア・ルーズベルト」を中核とする空母打撃群を中東地域に向けて派遣したと米紙が報じた。トランプ大統領も、11月の中間選挙後にイランへの攻撃再開を示唆する発言をしている。

 すでに中東地域には2隻の原子力空母が展開しており、新たに3隻体制の布陣で攻撃強化を図るのか、あるいは横須賀基地からの長期派遣となっている「ジョージ・ワシントン」が日本に戻る可能性もいわれている。

 だが、いずれにせよ、空母増派によってイランへの軍事的圧力を強めても、それだけで戦争終結の見通しが開けるわけではない。

 こうした見方は米国国内でも聞こえる。9月下旬のワシントン出張中、筆者が意見を交わした有識者はいずれも、「戦争でも平和でもない状況が、今後数年間は続くだろう」との見通しを示していた。

 原油輸送は回復しつつあり、米軍の支援や湾岸諸国の対応は一定の成果を上げている。だが、その回復を維持するための護衛や迂回(うかい)輸送には多額の費用がかかり、イランとの対立も解消されていない。

 問題は、輸送を回復できるかどうかに加え、そのためにどれだけの費用や軍事的な負担がかかるのか、そして、この戦争をどのように終えるのかという点にある。

 なぜ、世界最強の軍事力を持つ米国であっても、戦争を終わらせる道筋を描くことが難しいのか。その理由を理解するには、軍事的な成果を上げることと、政治的な決着をつけることとの違いに目を向ける必要がある。