イラン攻撃“有事のドル買い”の裏で進む「ドル資産離れ」、世界を振り回すトランプリスクPhoto:Bloomberg/gettyimages

イラン問題でも同盟国は対応に苦慮
日米首脳会談、早期収束のめど見えず

 トランプ大統領による2期目の政権運営が2025年1月に始まってから、世界経済は予測不能性に包まれ、金融市場はその一挙手一投足に振り回されてきた。

 相互関税は米連邦最高裁判所でも違憲判決が出たが、その後、発動された一律10%関税など一連のトランプ関税は戦後経済の拡大を支えてきた自由貿易体制を大きく揺さぶり、デンマーク自治領のグリーンランド領有“宣言”は、米国の同盟国である欧州の対米不信感を一気に増幅させた。

 26年初早々には武力でベネズエラのマドゥロ氏を拘束するという軍事作戦を展開し、2月28日には、イランに対し昨年6月の核施設攻撃に続き、イスラエルと軍事攻撃に踏み出し、最高指導者ハメネイ師を殺害するまでに至った。

 戦闘の収束はいまだ見通せず、中東情勢の緊迫化、原油輸送の要路のホルムズ海峡の封鎖で、原油価格の急騰と乱高下で世界を巻き込む事態だ。

 地政学リスクは、いまやトランプ大統領を主軸として展開している。

 イラン攻撃にしても明確な国際法違反だとみられているが、トランプ大統領の辞書には国際法など記されていないらしい。そもそも国際協調など考えもしないのがトランプ政権だ。「邪魔者は力で排除する」という個別ディールの積み上げだけに終始し、将来の世界システムの総括的な見取り図など恐らくないのだろう。

 だがその一方で、ホルムズ海峡封鎖の長期化で米国経済のインフレ再燃懸念、株価などの不安定化が強まると、海峡を航行するタンカーの護送などで同盟国などに艦船の派遣を求めるなどの身勝手ぶりだ。

 そんなトランプ流に、多くの国、米国の同盟国までもが対応に苦慮している。

 19日には、訪米した高市早苗首相とトランプ大統領の会談が行われ、日本は、関税合意での「対米5500億ドル投資」の第2弾や、米国産原油の輸入拡大のためのインフラ整備などを表明して、タンカー護衛への参加要求をなんとかしのいだものの、戦闘の早期終結への働きかけはおろか、トランプ政権の「米国第一」による国際秩序破壊を改めさせることはできずじまいだ。

 とはいえ、欧州諸国ではすでに安全保障などを含めて米国に距離を置き始めている。

 そして、従来の常識や尺度では経済や市場を語れなくなっている状況で、金融市場でも「ドル資産離れ」が徐々に広がる可能性がある。