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高市政権の政策で突出するのが、「強い経済」実現を掲げた「積極財政」だ。総選挙での大勝や支持率の高さを背景に、首相主導で強引に進められてきた。だが、市場では財政規律への疑念から長期金利上昇・円安が止まらず、米長期金利への波及を懸念したベッセント米財務長官が「リフレ政策停止」を求めるなど、勢いに変化がみられる。特集『高市政権1年 サナエノミクスの功罪』の本稿では、積極財政の具体化となる2027年度予算編成を巡る、高市官邸と財務省の「攻防」の新局面に迫る。(ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)
「数の論理」で決めた消費減税
衆院選「316議席の大勝」が支え
「積極財政」を掲げる高市政権の“目玉政策”の一つがいよいよ具体化した。
10月9日、食料品の消費税率(8%)を1%に引き下げ、1%分の相当の働き手支援の給付(就業者負担軽減支援)と合わせて、事実上の「消費税ゼロ」とする法案が閣議決定された。1989年に導入された消費税が減税されるのは初めてだ。
20日からは国会での法案審議が始まったものの、消費税減税については与党の自民党内でもいまだ賛否がうずまく。目玉政策実現までには党内でも紆余(うよ)曲折があった。
7月31日、党の税制調査会と社会保障制度調査会の合同会合。財政規律を重視する議員らが、効果や財源が曖昧なことを挙げて「反対論」を唱えていた。会合後、会見した小野寺五典議長(党税制調査会長)は、「6対4で反対論が多かった」と語った。
だが、翌週の8月3日、2回目の会合で雰囲気は一変した。
「減税は選挙の公約だ。勝てたのはそのおかげ」「総理が言ったからにはやる必要がある」
若手議員を中心に賛成派が数十人に増え、いきなり議長の減税案への賛否を問う流れに。賛成派が次々に立って発言し、目玉政策実現の援護射撃を続けた。週末をはさんで執行部の意をくんだベテラン議員らが動員をかけたという。発言の内容は逐次、官邸に報告された。「〇×リスト」が作られたともいわれている。
採決では、賛成65、反対9、中立1と、減税賛成派が圧倒した。
これまで党税調は、「インナー」と呼ばれる財務省や総務省(旧自治省)出身の議員らを中心に財政通のベテラン議員が主導し、税調会長もインナーから選ばれてきた。
だが高市政権では、税調とは無縁だった国防族の小野寺氏が任命され、首相の意をくむ形で議論を主導。減税案も官邸と事前に擦り合わせたものだった。
党内の財政規律重視派からは不満と反発が噴き出す。
「もとはといえば高市首相が選挙対策で突然、言い出した話だ。税制としての理屈もなく、『数の論理』で決めてしまった。打ち出し方も決め方も乱暴過ぎる」(村上誠一郎・前総務相)
「消費税は、社会保障の財源確保や将来世代のために、大平内閣の一般消費税から始まり歴代の首相が政治生命をかけて拡充してきた。それを一時的な物価対策で減税するのはあまりにも安易。恩恵が高所得層ほど大きいことを考えても物価対策としても悪手だ」(古川禎久・幹事長代理)
総選挙での「316 議席の大勝」で、党内の積極財政派と財政規律重視派のバランスは崩れた。そして、官邸と財務省の関係も変わった。







