Photo by Kuninobu Akutsu
高市政権の積極財政の目玉の一つは食料品の消費税減税だ。だが高市早苗首相自身の「消費税ゼロ」の主張は総選挙を前に生煮えで出てきた感があり、自民党内でも強引な決め方や、財源や効果があいまいなことへの批判も強い。特集『高市政権1年 サナエノミクスの功罪』の本稿では、安倍政権以降、3代の政権で計8年自民党税制調査会長を務め、財政規律維持を唱える宮沢洋一参議院議員に、消費税減税を巡る“高市流”の是非や積極財政の意味合いをどう考えるのかを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)
分からない「積極」財政の意味合い
歳出規模はすでにかなり大きい
――高市政権は積極財政路線を標榜していますが、景気は回復基調で需給ギャップもほぼ均衡し、むしろインフレが問題になっている状況です。どう受け止めていますか。
財政政策は「拡張」か「緊縮」か、で表現することが多いですが、「積極」という意味合いを含め、今なぜ積極財政を打ち出されたのか、正直よく分かりません。
一般会計の歳出規模は、非常事態だったコロナ禍の後も120兆~130兆円の規模で、赤字国債も30兆円前後を発行しています。国防費増強で歳出拡大が話題になっているドイツと比べても、国債発行額も含め十分大きな規模です。
昨年秋に経済対策をまとめて補正予算を作った時のことですが、自民党で対策を決める際、小林鷹之政務調査会長に、高市政権になってから長期金利が上がり円安になっているのをどう考えているのかと問いました。放漫財政にならないようにし、市場ともしっかり対話をすると彼は言っていましたが、私はなかなか難しいのではと思いました。
案の定、その後も長期金利上昇や円安が進んでいます。市場には、「積極財政」と高市政権が言う「責任ある」という言葉が矛盾するように聞こえている気がしています。
1月公示・2月投開票の衆議院議員選挙の公約を決めた1月下旬の自民党総務会でも、高市首相が言及した食料品の「消費税ゼロ」には党内にも反対意見があり、政調会長は大変苦労していました。
結局、公約には「検討を加速する」として、消費税率を下げると明示されなかったから私は反対しなかったものの、総裁をはじめ党の幹部は市場の声に真摯に耳を傾けてほしいと再度、言いました。ですが、市場の懸念を払拭できていない状況です。
高市政権が掲げる積極財政を疑問視する宮沢氏。次ページでは、自民党内からも反対意見があった消費税減税はどう決まったのか、なぜ税制調査会長を交代したのかなど、1年を迎えた高市政権の内実を語ってもらった。







