まず、会社をまたいだ販売の仕組みが複雑で難しいことだ。国鉄が1987年に民営化された後、JRや第三セクターの運賃収入が会社間をまたぐ場合は、距離に応じて分割する。ところが指定席特急料金やグリーン券、寝台料金は車両を保有する会社が総取りする形になる。

 夜行高速バスが多い東京~大阪間を例に見ると、東海道線の管轄がJR東日本、東海、西日本で分かれる。全区間分の運賃を取れるJR東海以外は旨みが少ない上、単価を高くして高収益を見込める寝台車の所属をどこにするかも問題で、寝台特急は実現できない状況だ。

 新幹線の開業後に分割民営化されたことで経営分離された在来線でも、この原則は適用される。これは、「はくつる」や「北陸」など多くの寝台特急が、新幹線開業後に廃止された一因と指摘されている。

国鉄民営化から40年のネック
JR各社で独自化が進む

 また、国鉄民営化から40年近く経過したことも結果的にネックとなっている。国鉄時代の夜行列車は、機関車が引く客車や電化区間なら全国どこでも走ることが可能な583系電車などだったので、地域ごとの制限はなく設定できた。

 しかし国鉄車両は引退が進み、民営化後に登場した車両は各社独自の運行システムを採用しているので、他社乗り入れが困難であることが多い。

 復活運行したムーンライトながらが、東京~大垣ではなく三島からの運行になったのも、それが理由ではないかと鉄道ファンからは指摘されている。使用した373系電車は、保安装置の関係で東京駅に乗り入れられず、JR東海区間しか運行できないからだ。

 会社間をまたぐ運転となると、使用車両を運行全区間の社員が対応できるよう訓練を受ける必要もある。例として、JR東日本の特急「踊り子」には一部、修善寺に向かう列車があり熱海~三島のJR東海区間を挟むが、このわずか16.1kmのためにJR東海の運転士がJR東日本のE257系専用の訓練を受けている。

 こうした訓練や運用面の負担も、会社をまたぐ列車設定のハードルだ。近年の観光列車や夜行列車のほとんどが、自社管内で完結している背景でもある。

 ではこれらの課題に、解決策はあるのだろうか?