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元週刊ダイヤモンド編集長が高校生向けに実施している授業「大学への経済学入門」を基にした連載『経済学タイムトラベル 歴史を動かした経済思想家たちの軌跡』。第16回はアダム・スミス(1723~90)の3回目です。スミスの『国富論』(1776)は、初版刊行からちょうど250年経ちました。『国富論』の4つのポイントから、今回のゼミでは有名な「見えざる手」についてです。「見えざる手」はあまりにも有名で、今日では18世紀の自由放任主義(リベラリズム)から飛んで、1980年代以降の新自由主義(ネオリベラリズム)を象徴する言葉になっています。今回は、アダム・スミスの意図の原点に立ち返って、21世紀生まれのみなさんといっしょに「見えざる手」について考察したいと思います。
「私益の追求が社会の進歩に結びつく」を
わかりやすく寓話で説明するなら?
本題に入る前に、前回の宿題から始めましょうか。アダム・スミスは、ルイ15世とポンパドール夫人の宮廷医師で経済学者のフランソワ・ケネーらと討議するためにヴェルサイユ宮殿を訪れました。壮大なヴェルサイユはルイ14世が作った宮殿都市です。重商主義フランスが海外から獲得した金銀と貿易利潤で作ったのがヴェルサイユ宮殿ですが、ルイ14世には「太陽王(Le Roi-Soleil)」の異名があります。どうして「太陽王」なのでしょう。これが宿題でしたね。
生徒C:図書館で調べてわかりました。ルイ14世は1661年、23歳で親政を始めると、ヴェルサイユ宮殿の大拡張工事に着手します。完成前の1664年、1週間続く大規模な「祝祭」を催します。劇作家モリエール作、ジャン=バティスト・リュリ作曲のコメディ・バレエなどが上演されました。ルイ14世は少年の頃より自ら踊ります。1653年の「夜のバレエ」という徹夜で上演される長大な作品では、王は最後の幕で「昇る太陽」の役で踊ります。これ以降、「太陽王」を名乗り、絶対王政の権力を誇示します。太陽はルイ14世のシンボルとして、太陽のレリーフがヴェルサイユ宮殿の門や内装に掲げられています。
C君、ありがとう。よく調べましたね。本を何冊読みましたか。
生徒C:5冊です。
参考文献の話に移ると本題からどんどん離れちゃうので、本文末尾の「注(参考文献)」で5点を紹介してくださいね(★注1)。
では本題の「見えざる手」について考えてみます。前回、アダム・スミスの重農主義批判の流れを中公文庫版『国富論』の小見出しで追っていきました。この章の最後はこうです。「要するに、農商工いずれを問わず、とくに奨励したり抑制したりするいっさいの主義政策は、社会の進歩を遅らせる」(★注2:アダム・スミス『国富論』中公文庫)。つまり、政府の経済政策を否定して、徹底した自由主義を主張しています。
生徒A:かなり過激な自由主義だと思いました。それにしても、私益の追求が公益や社会の進歩に結びつく、という言い回しが、どうにも実感できないのですが。
では、次のような寓話を紹介しましょう。







