「良い例を1つ見せる」だけで
AIの出力が、まるで変わる
『頭のいい人が習慣にしている学び方の戦略』堀田秀吾 著、アスコム、税別1800円拡大画像表示
「もっとシンプルにして」「読みやすくして」と伝えても、AIから返ってくるものがイメージと全然違う。
何度修正を依頼しても、同じようなズレが繰り返される。
こういった場面でよく起きているのは、「言葉で説明した指示」と「AIが解釈した期待」のズレです。
そのズレを埋める最も効果的な手段のひとつが「例を見せること」になります。
OpenAIのブラウンらは、GPT-3という1,750億のパラメータを持つ大規模言語モデルを訓練し、その性質を調べた研究を発表しました。
この研究が明らかにしたのは、少数の例(few-shot)をプロンプトに含めるだけで、特定タスク向けの追加学習をしなくても、翻訳・質問応答・文章補完など多様なタスクで高い性能を発揮できるという事実です。
人間が例から作業の型をつかむように、大規模言語モデルも、少数の例から求められる出力パターンを推測できることが示されました。
「良くない例」を併せて見せると
出力のブレが減る
出典:『頭のいい人が習慣にしている学び方の戦略』拡大画像表示
なぜ例を見せると出力が安定するのかというと、言語で抽象的に説明した条件には、どうしても解釈の幅が生まれます。
「簡潔に」という指示を受けたとき、AIにとってそれが2文なのか2段落なのかはあいまいです。
しかし実際の例を見れば、「このくらいの分量・このような構造・このような言葉遣い」が即座に伝わります。文章よりも例のほうが、意図を精密に伝える力があるのです。
とりわけ有効なのが、「良い例」と「良くない例」の両方を示す方法です。
良い例だけでは「このくらい良ければじゅうぶん」という上限の目安しか伝わりません。良くない例を加えることによって、「こういう方向には行かないでほしい」という境界線が明確になるのです。
たとえば「要点が3つに整理された箇条書き(良い例)」と「長文で要点が埋もれた文章(良くない例)」を並べるだけで、AIが探索する出力の範囲が大幅に絞られます。
例は長く詳細に書く必要はありません。1~3文程度でじゅうぶんです。むしろ短いほうが、伝えたいパターンが際立ちやすくなるでしょう。
出典:『頭のいい人が習慣にしている学び方の戦略』拡大画像表示
・制約や禁止事項など、「やってほしくないこと」を先に明示することで、AIもこちらの意図を組んだ文章を作成しやすくなる。
・毎回バラバラの依頼文ではAIの出力もブレてしまうので、「目的→制約→出力形式→評価基準」の4つの要素で構造を担保する。
・言語説明の依頼では解釈の幅が生まれてしまうが、実際の例を見せることで、AIも意を汲んだものを出力しやすくなる。
・Kahneman, D. (2011). Thinking, fast and slow. Farrar, Straus and Giroux.
・Reynolds, L., & McDonell, K. (2021). Prompt programming for large language models:Beyond the few-shot paradigm. In Extended Abstracts of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (Article No. 314, pp. 1–7). Association forComputing Machinery.
・Brown, T. B., Mann, B., Ryder, N., Subbiah, M., Kaplan, J., Dhariwal, P., Neelakantan,A., Shyam, P., Sastry, G., Askell, A., Agarwal, S., Herbert-Voss, A., Krueger, G.,Henighan, T., Child, R., Ramesh, A., Ziegler, D. M., Wu, J., Winter, C., Hesse, C.,Chen, M., Sigler, E., Litwin, M., Gray, S., Chess, B., Clark, J., Berner, C., McCandlish,S., Radford, A., Sutskever, I., & Amodei, D. (2020). Language models are few-shot learners. Advances in Neural Information Processing Systems, 33, 1877–1901.







