影響(1):AI・データセンター開発への逆風
地域住民の反発と規制強化が投資の重石に
第一の影響は、トランプ政権発足以降、米国経済の力強い設備投資を牽引してきた人工知能(AI)およびデータセンター投資(図表1)に対する逆風の強まりである。
連邦議会では、下院議長への就任が見込まれるジェフリーズ氏をはじめとする民主党執行部が、かねてより大手テック企業に対する監視・調査を急速に活発化させる構えを見せている(図表2)。また、バーニー・サンダース上院議員やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)下院議員ら進歩派(民主社会主義系)議員は、AI向けデータセンターの新規建設を連邦レベルで一時凍結する「モラトリアム法案」を提出しており、新型AIモデルの安全基準の法制化や経営陣の議会招致を求めている。
さらに、データセンターの許認可権限を実質的に握る州政府や地方自治体レベルでは、党派を超えて開発への慎重論・反対運動が広がっている。データセンターがもたらす膨大な電力・水消費、一般家庭への電気料金転嫁、環境負荷に対する地域住民の反発は極めて根強い。中間選挙と同日に全米各州で実施された40件以上のデータセンター関連の住民投票では、建設禁止や一時停止など規制強化を求める声が多数に上った。
民主党の勝利をこうした「反AI・データセンター開発」の民意と捉え、今後の投資計画に影響が生じることが想定される。特に象徴的なのが、全米のデータセンター増設計画の約3割を占め、積極的な企業誘致を進めてきたテキサス州の中間選挙の結果である。同州知事選では、データセンター建設の即時一時停止や優遇税制の撤廃を公約に掲げた民主党のジーナ・ヒノホサ氏が、現職のグレッグ・アボット知事を破る番狂わせを起こした。
退任するアボット知事自身も、選挙前には送電網や水資源保護を理由に許認可の一時停止へ舵を切っていたが、新知事の誕生によって税制優遇措置の縮小や環境審査の厳格化の議論が進むことが想定される。今後もAI関連の設備投資が継続することは既定路線であるものの、立地の見直しや許認可の遅延、事業者の追加コスト負担の増大を通じて、投資ペースが鈍化する可能性は高まったと言えよう。









