新たな住まいを探そうと考えた時に、多くの人はまず「賃貸か所有か」という選択で悩み、「所有」を決断すると、「新築か中古か」という次なる悩みにぶち当たる。

 景気の上昇傾向が見えてきた昨年末以降、増え続けているマンション購入希望者へむけて、今回は筆者なりの新築と中古の比較をお届けしたい。

「どちらがオトクか」について議論することは、それぞれの長所と短所があるのであまり意味がない。前編ではそれぞれの特徴を、来月にお届け予定の後編では買い方のコツについて考えてみたい。

 これまで、本連載は新築マンションの事について書いてきたが、今回は中古マンションにフォーカスをあててみる。

高級物件がきっかけ
中古市場が動き出した

 前回も触れたが、マンションの売れ行きは好調を維持している。それを表すデータが次々と出ているので、改めて紹介しよう。

 7月末に国土交通省から公表された2013年上期の住宅着工戸数(速報値)において、分譲住宅(マンション・建売住宅)は前年比+8.1%、新築マンションの契約率は今年に入って(1月を除いて)、毎月80%前後で推移している。

 また、中古マンションの契約実績を基に算出される東証住宅価格指数は、8月末に最新数字(最新数字は2ヵ月前の数字)として、6月分のデータが公開された。これを見ると東京の価格上昇は鮮明となっている。それに埼玉は低調ながら上昇傾向、首都圏総合(Composite)も若干上向きになっている。2012年7月~2013年6月までの1年間のグラフを見れば傾向が出ている。

出所:東京証券取引所データは2000年1月分=100として計算

 この傾向は販売現場にも現れている複数の中古不動産流通業(売買仲介業者)の幹部の方の声として、「昨年秋ごろから億を超える高額物件の動きに変化が見られるようになった」という。株価上昇で増えた資産を、不動産に移転させているのだという。

 こうした動きがきっかけとなって、じわじわと中古マンションが動き始めている。完全にマンション市場の潮目は変わったといっていいだろう。