大きな金融危機が起きて国民生活が混乱すると、これまでさほど問題視されてこなかった金融行政の制度に対して世論から批判がわき起こりやすい。日本で1998年6月に金融監督庁が大蔵省から分離された経緯もそうだった。
米国ではここ最近、FRBの地区連銀の理事会のあり方に疑問の声が高まっている。FRBから融資を受けている金融機関の経営者も兼任で理事を務めているからだ。
今年5月にはニューヨーク連銀の理事会議長を務めていたS・フリードマン氏がメディアから激しい批判を受けた。同氏はゴールドマン・サックスの役員で株主だが、昨年12月と1月にゴールドマンの株を買い増していたことが報道された。
その数日後に理事を辞任している。昨年9月に同社は投資銀行からFRBが監督する銀行持ち株会社に転換していた。
FRBの12地区連銀は、地元の民間銀行が出資する株式会社の形態を取っている。地区連銀は連邦準備法に基づいて、9人の理事による理事会を有している。理事は3つのクラスから選任される。
Aクラスは地区連銀の株主である地元民間銀行から3人、Bクラスは地元を代表する人物(大企業経営者が多い)から3人、CクラスはワシントンのFRBが選んだ3人である。