ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
インキュベーションの虚と実

事業のHOWが鍵、そのパズルを考え抜く
小澤隆生・YJキャピタルCOOインタビュー

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第35回】 2013年9月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
5
nextpage

*  *

 現実の例を使って、自分の仮説やアイデアを試し、そのスキルを磨いていくことを小澤氏は勧め、自ら実践している。新たな事業は不確実性に満ちていて、将来どうなるかは分からないものだ。それを初めてのスタートアップで経験もなく取り組むよりも、こうした演習を重ねてトレーニングしておいた方が上手にできるはずだ。

 対象は違うが、筆者はかつて、ビジネスミーティングの度に、Aさんの本心はこうだ、Bさんは賛成している、Cさんは買う気がないと予測し、後で答えあわせをすることを繰り返した結果、ミーティング出席者が何を考えているか的中率が高くなった。

 こういったシミュレーション型演習はやってみる意味があるだろう。

*  *

起業家を理解してから投資し
自分も口を出す

――個人で投資したチームには、どうやって巡り会いましたか?

 個人の投資は、基本昔からの知人が多い。彼らに対しては損してもいいと思って、なかば捨てるつもりでやっていた。

 それ以外には、もちろんこちらから投資をお願いした起業家もいるが、多くの「どうしたいいかわからず困っています」という人と仕事をしてきた。「全ての投資家に断られた」「どう進めていいか全然分からない」と言って駆け込んでくる人たちだ。

 逆に、志が強いと私の言うことを聞いてもらえないし、うまくいっているなら私は要らない。バリュエ―ション(会社の評価額)を高くつけないし、口が悪いから、他に断られたら来てくださいと言っていた。

 国内のレジャーや遊びの予約サイトの「あそびゅー!」(カタリズム株式会社)は、押しかけてきた会社の一つだ。いくつか課題を与えて疑似的に仕事をして、プレゼンさせて、いろいろな人に会わせて、それでお金を出そうということになった。

 昨年ヤフーに買収されたフェイスブックマーケティングのクロコスも、「これからエンジニアとしてどう進んでいけばいいかわからず困ってるんです」と5人のエンジニアが私のところに訪ねてきたことがきっかけだ。ビジネスプランを聞いたがこれはなかなか難しいなと思いました。このままじゃ、技術力はあるが、ちょっと詳しい人で終わってしまう。

 ちょうどそのころ、私は企業向けのフェイスブックマーケティングのアイデアを持っていました。そこで、元ビズシークの仲間に社長で来てもらって、エンジニア5人と会社をつくったのがクロコスです。

 ですが、正しいテーマで失敗したくないので、同じテーマで2社をつくらせて競争してもらいました。クロコスがうまくいった時点でもう1社にはこの事業を止めてもらい、新しいビジネスを授けて、いまは黒字化しています。

 ベンチャーの社長は1回の面談じゃ分からない。知ってる人は分かる。分からない人はいっしょに何かやって知り合いになってもらいました。

previous page
5
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

⇒バックナンバー一覧