電力システム改革が必要な理由

 電力市場は、発電や送配電など分野の異なる事業者、調整機関、取引市場、規制機関などが適切な協調と緊張関係の下、絶え間ない改善と競争を続ける動的な活動の場であるべきだ。明確なルールが必要なことはもちろんだが、事業者の活動は電力事業を取り巻く環境に応じて柔軟に変化する必要がある。

 極端に強い影響力をもつ事業者が存在し、当該事業者が場を独占的に支配したり、適切な協調と緊張関係が維持できないという状況になれば、電力システムは硬直化し、市場は活力を失ってしまう。

 地域間の電力融通を行う広域運用や地域資源活用の必要性は、震災前から認識されつつも、地域独占構造の中では機能しなかったという経緯を忘れてはならない。前述したように東日本大震災では、1951年以来の硬直的な地域独占体制下では広域運用は実現しないという事実が表面化したのだ。今後、電力会社の送電網運用の権限・義務等との適切なバランスをいかに取るかが課題になる。

「権限構造再構築」とは何か

 では地域独占体制を解消し、電力会社が保有していた権限を分散させ、再構築するには、具体的にどのような策を講じれば良いのだろうか。そこには2つの方向性が考えられる。

 1つ目は、より効率的な統一市場を日本全国で形成することである。震災で明らかになった問題は、地域間の競争構造がなかったことに起因する。地域間で競争を行う構造が定着していれば、地域外に、緊急時の電力供給を行う主体が存在し、必要な電力の供給を実現できたはずである。既存の中央集中型の大型電源を中心とした電力システムを広域の構想により効率化するのである。

 2つ目は、地域資源を活用し、地域経済に役立つ地域エネルギーの仕組みを根付かせることである。地域で化石燃料を最大限効率的に利用するとともに、バイオマスや風力などの再生可能エネルギーを活用するエネルギーシステムの構築が必要である。

 この実現には、地域の人材を活用し、地域の自治体、企業、金融機関を活用して、地域エネルギーシステムを支える地域経済構造を形成し、実態ある仕組みを形成することが必要だ。