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インキュベーションの虚と実

ベンチャーキャピタリスト覆面座談会
起業家も投資家もレベルを上げねば未来はない

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第36回】 2013年9月30日
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 グローバル化はいまやビジネスの必修科目ともいえる。筆者が腰を抜かしたのだが、米国に渡った後で「英語が必要だ」と気づいている起業家がいた。そんな低レベルの起業家が多いのが現状で、これではグローバル化などできない。

 しかし、海外勢の日本侵攻が加速すれば、グローバルな戦いに組み込まれることを前提に、戦略を練る必要があるのが現実だ。

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もっと情報のシェアを
もっと教育と学習を

筆者 米国は起業に関する情報がいろいろとオープンになっているし、経験者に教わり、互いに教えあうカルチャーがあるが、日本ではどうか?

C 米国では、お金のことを分かって起業するエンジニアが多いが、日本で「資本政策は?」と聞くと「分かりません、教えてください」とか言ってくる(笑)。これじゃ赤子といっしょ。

B 日本ではみな言わなさすぎかもしれない。情報、経験が外に出ていない。

A 共通認識を持ったコミュニティが全然できていない。全体の教育が大切だよ。

C 政府が金を出そうとしているが、そういうファンドよりも人の開発が大切だ。例えば、英国では社会人一年生を起業家に育成するプログラムがある。日本の高校生を海外に出すとか、思い切ったことをやった方がいい。

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 米国は起業家教育では先を行っているが、さらなる進化がとまらない。一方、日本ではまだまだ弱いままだ。教育という視点が、今の日本ではもっとも足りない点だと言えよう。

 対談中、「“スットコドッコイ”でも投資家と組んで努力すれば結果は出る」という発言が出た一方で、「資本政策についての知識は赤子といっしょ」でもっと勉強する必要があるという趣旨の発言が出た。これは、投資家の選び方や組み方が稚拙な起業家が多いため忸怩たる思いを抱いているということだ。

 米国ではトランスパレンシー、「(情報の)透明性」を唱えて情報発信に力を入れるベンチャーキャピタルもおり、情報発信や経験のシェアが盛んだ。しかし、日本では表層的な情報や限られた範囲でのクローズドなシェアに留まっている。筆者もそれを打破する一助となろうと本連載をしてきたわけだが、日本でももっと広くオープンに発信・共有がされることを期待したい。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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