2. 探求力
子どものころの私たちは純粋な探求心があり、好奇心いっぱいで、新しいことを発見するのに夢中になっていた。賢者の探求心も同じくらい純粋で、浜辺を歩きまわって石をひっくり返し、何かを探そうとする子どものようだ。賢者の「探求」モードが生み出す純粋なエネルギーや感情は、対象への好奇心、開かれた心、驚き、そして愛着から生まれる。強力な賢者は、重大な危機に遭遇してもこうした探求心を活性化できる。
パワーゲームでは「熱心な人類学者」の役割を演じよう。状況を裁いたり、変えたり、コントロールしようとしたりせず、ありのままを熱心に観察しよう。困難な状況に直面したとき、「熱心な人類学者」は自分の予想と一致する情報や、望ましい結果だけに目を向けたりしない。ものごとをありのままに発見することが唯一の目標である。例えば誰かと対立したとき、たった3分間でも自分の不満や要求を脇におき、相手がそんな感情を抱いた理由を発見することに情熱を燃やすことができるか、試してみよう。
3. 革新力
「探求」の力はものごとをありのままに発見することだが、「革新」の力は今は存在しないものを生み出すことだ。真の革新とは、私たちを制約している枠組みや既成概念、習慣を打ち破ることであり、「これをやるのに全く新しい方法はないか」というのが「革新」の基本となる問いである。
革新力を高めるには、「確かに……さらに……」ゲームがいい。アイデアを思いつくたびに、「確かにこのアイデアのいいところは……さらに……」と述べていくことだ。こうすることで、どんなアイデアも裁くことなく評価し、そこから次のアイデアを生み出していける。できるだけスピードを出してこの作業を繰り返そう。このゲームは心の中で行ってもいいし、チームで行ってもいい。
例えばホテルチェーンで、顧客経験を向上させるためのブレインストーミングを行ったとしよう。ボブが口火を切る。「ロビーで癒しの音楽をかけたらどうだろう」。ジャネットが続けて言う。「確かに、そのアイデアのいいところはゲストをリラックスさせるところね。さらにアロマセラピーの研究成果を活用し、リラックス効果のある香りを探すといいかもしれない」。キャシーが続く。「確かに、そのアイデアのいいところは科学的研究結果を利用している点ね。さらにポジティブ心理学の知見も取り入れて、接客訓練の改善に役立ててもいいかもしれない」