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インキュベーションの虚と実

お行儀が良すぎる今の起業家へ送る至極の提言!
「現実歪曲空間を放ち、圧倒的世界一を狙え!」
——国光宏尚(gumi社長)×小林清剛(前ノボット社長)×宮澤弦(ヤフー検索事業責任者)鼎談

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第37回・最終回】 2013年10月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
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日本の起業家はオープンになるべき
ダメなら止める、ゾンビ育成するな

筆者 日本ではまだオープンなスタートアップのコミュニティができていないですよね。

国光 「人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか スペイン サン・セバスチャンの奇跡」(高城剛著)を読んでみるといいよ。凄く小さな町に「三つ星レストラン」が3店舗、「世界ベスト10レストラン」が2店舗もある。

 天才シェフのフェラン・アドリアは、「料理は進歩が止まっている、伝統という名の怠惰にあぐらをかいて」と言って、自らのレシピをオープン化した。するとまずは地元のシェフがこれを使い料理を始め、それをさらにネットに公開し、そして世界中のシェフがこれに続き、技術や味がレベルアップした。マッシュアップ(組み合わせ)も実験され、「いままでにない味を創ろう」とか「食感をつくろう」と挑戦するシェフが次々と現れて、料理が再発明されて、結果的に世界中の料理人が集まり、「ヌエバ・コッシーナ」(新しい料理という意味)と言われるムーブメントを巻き起こした。

宮澤 それと似た話で、「シリコンバレーの百年」というDVDがあるんだけど、昔のシリコンバレーって飲みに行く居酒屋が1軒しかなくて、半導体の技術者が毎日飲みながら、今日何を試して、どういう結果が出たかっていう情報を共有して、それでシリコンバレーは発展していった。

国光 日本のコワーキングスペースでも、そういう情報のシェアをどんどんやればいい。

宮澤 500 Startupsのオフィスに行くと、僕はただの見学者なのに、なぜか忙しい(笑)。というのは、起業家はどんどん話しかけてくる。「話、聞いてもらっていいですか」って。聞かれたら、みんな「こうやったらいいんじゃないか」って、アドバイスをどんどんする。日本にはない雰囲気だよね。

国光 自分で良いサービスを作りたいって思ったら徹底的に調べるし、議論するし、それでなんとかして一番になりたいと思う。情熱と議論は大切だと思う。

小林 僕が思っているのは、ビジネススキームが成り立たなくなったスタートアップを、一旦止めさせて、再スタートをさせることができればいいということ。アクセラレーターがそういうこともやっていかないといけないんじゃないかと思う。そうしないと、優秀な人材がいつまでも上手くいかないスタートアップに関わり続ける事になってしまって、すごくもったいない。人材の流動性が低い事は、日本のスタートアップの大きな問題。

筆者 ダメになったら、どこかが買い取るということも検討した方が良い。アキュハイアー(aqui-hire: チーム採用型の企業買収)は米国でも増えている。

小林 失敗させないのが一番の問題。ダメなビジネスモデルのままで、だらだらと事業を続けて、ゾンビみたいなスタートアップがたくさん残っているのは良くない。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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