ハウスメーカーとして知られるが、賃貸住宅や商業施設、事業施設など、戸建て住宅以外で収益を伸ばしている。強気の投資戦略を支えるのは、REITを活用した投資回収だ。
「社名から『ハウス』を取ったほうがわかりやすい」──。大和ハウス工業の投資家説明会では、こうした意見がよく飛び出す。
実際、大和ハウスをハウスメーカーとして見てみると、不可解なことだらけだ。
例えば昨年は、中堅ゼネコンのフジタの買収を発表し、業界をあっと驚かせたし、今年に入ってからは、マンション中堅デベロッパーのコスモスイニシアを買収。さらに今年夏には、不動産開発投資などを理由に、第三者割当増資などで1375億円を調達した。
売上高の構成を分析すると大和ハウスの描く戦略が見えてくる。
図(1)のように、大和ハウスの売上高と営業利益はこの数年、順調に伸びている。2012年度には、ハウスメーカーとして初めて、売上高2兆円を突破した。
しかし、売上高に占める戸建て住宅の比率は16%前後。過去20年近くを見ても、ずっと伸び悩んでいるのだ(図(2))。
背景にあるのは、住宅着工戸数自体の減少に伴う、市場環境の悪化。プレハブ住宅がルーツの大和ハウスにとって、戸建て住宅は「コア事業であるとの位置づけは変わらない」(中里智行・東京本社経理部部長)というが、さりとてこの分野にこだわっていては、成長は望めない。
そこで、取って代わるのが、賃貸住宅と商業施設、そして物流倉庫や工場などを手がける事業施設の3分野だ。13年度までの3カ年計画で達成する予定だった売上高2兆円を1年前倒しで達成できたのも、賃貸住宅と商業施設が好調だったおかげだ。