売れっ子放送作家とコピーライターによる、伝え方の共通項とは? 45万部を超えたベストセラー『伝え方が9割』の佐々木圭一氏と、秋元康氏との共著『天職』が大きな話題となった放送作家の鈴木おさむ氏が意気投合。二人の対談をお届けします。
(取材・構成/上阪徹 撮影/石郷友仁)

ちゃんと相手のことを考えているか

鈴木おさむ(すずき・おさむ)1972年千葉県生まれ。大学在学中の19歳でデビュー。「SMAP×SMAP」「お試しかっ!」「Qさま!!」など数々の人気番組の構成を手がける。主な著書に、『ブスの瞳に恋してる』『テレビのなみだ~仕事に悩めるあなたへの77話~』『芸人交換日記~イエローハーツの物語~』がある。
鈴木おさむオフィシャルブログ http://ameblo.jp/smile-osamu

佐々木 僕の夢は、中学や高校で「伝え方」をテーマにした授業をすることなんです。中学や高校では国語を学んできたわけですが、僕は超がつくほど苦手だったんですよね。成績も一番悪いのが、国語だった。
 でも、そういう国語とはまた違う「伝え方」があると思うんです。「人の笑わせ方」とか「人への伝え方」も、ものすごく重要なのに、これも国語にはないですよね。週に何時限もあるわけですから、そのうちひとつでもいい、一ヵ月に一回でもいいから、そういうものが教えられたら、子どもたちも変わるだろうし、日本も変わるんじゃないかと思うんです。

 たまたま港区の高校生に授業をさせてもらう機会があって行ってきたんですが、みんな目をキラキラさせながら聞いてくれて。「デートにどうやって誘うか」なんてテーマで話していましたから、すごく食いついてくるわけです(笑)。
 やっぱり、一般の人たちがもっともっと知ってくれたらいいのになぁ、人生がもっと面白くなるのになぁ、と改めて思ったんですよね。

鈴木 この間、僕がよく行くバーのお兄さんが結婚したんですよ。ものすごくお世話になってる人なんです。奥様から結婚式にコメントをもらえないか、って言われたんですが、僕は手紙を書きます、と言ったんですよね。それを披露宴で読んでもらったらいい、と。
 もちろん真剣に書きましたけど、結局、それがどこに行きつくか、ということが大事なんだと改めて思ったんです。つまり、その手紙が読まれたときに、本人がどう思うか、親族がどう思うか、ということです。

 例えば、僕が「いつもお世話になっています」なんて話をつらつら書いてもしょうがない。そうじゃなくて、どうしたらバーのお兄さんがカッコ良く映るか、ということです。そこから始まらないといけない。
 まわりの人の、評価が上がってほしいということ。ご両親が聞いて「息子、いい仕事してるじゃん」と思うこと、普段の彼を見ていない人が素敵だと思うこと。

 仕事も同じだと思ったんです。何のためにやるのか、ということです。目的がはっきりしていないといけない。もっといえば、仕事の相手のことを考えないといけない。自分の仕事によって、どうなってほしいか。それは、メールひとつ打つのも同じだと思うんです。

佐々木 それができていない人が意外に多い、ということですね。ちゃんと相手のことを考えれば、しかるべきメールになったり、文面になったり、仕事になったりするのに。