経済発展著しい中国・広東省の中でも日本企業の誘致に熱心な経済都市、佛山市。自動車産業を中心に日本企業も数多く進出している同市の経済対外トップが、尖閣諸島問題以降の日中関係や中国経済の今後、そしていま地方都市が抱える問題を語る。
Photo by Jun Morikawa
――習近平・李克強政権になって経済改革がうたわれている。佛山市としてはこのシグナルをどう受け止め、実践していくのか。
市場経済への移行を推進する鄧小平政権の「改革開放」から35年がたったが、今日までの中国の経済成長という実績は、中央政府の政策が正しかったことを証明していると思う。
ただ、列車と同じで、経済成長も速すぎると危険だ。日本企業も中国の成長率がどれくらい落ちるのかと心配しているかもしれないが、スピードを緩めてリスクを落としていく、と理解してほしい。もちろん、成長に急ブレーキをかけることは中央政府も望んではいないだろう。
――一方で、地方政府には経済成長、あるいは日本企業誘致のノルマがあるはずだ。景気過熱を抑えたい中央政府は、地方政府の評価基準も柔軟に変えているのか。
今は経済成長のスピードといった経済指標だけで評価はされない。以前は「経済」「社会」の二つの指標だったが、現体制下では「経済」「政治」「社会」「文化」「生態文明(=環境)」の五つで多角的に評価するようになっている。
そもそも佛山市は不動産バブルも深刻ではなく、産業も安定している。
佛山市は、これまで中央政府の方針に従って政策を取ってきたからこそ製造業の中心地として成長してきた。機械設備、家電、金属加工・製品、アパレル、食品など従来の産業が根付いているほか、自動車部品、バイオ医薬、環境、新素材、新エネルギーなどの新興産業も順調に発展している。