当連載も今回で100回目である。2009年7月21日に連載開始して以来、途中で単行本執筆などの理由で数回休載したこともあったが、約4年4ヵ月にわたって連載を続けることができた。正直に言って、当初はどこまで連載を続けられるか、僕自身もよくわかっていなかった。
いまでもそうだが、当時は社会貢献がブームになりそうな気配があり、さまざまなテレビ番組や雑誌で特集が組まれていた。しかしほとんど数字が取れなかった。「社会貢献では数字が取れない」がメディア業界の常識のなかで、ダイヤモンド・オンラインのような日本でメジャーなビジネス系ウェブマガジンがこのような社会貢献をテーマとした連載を開始した――その英断には感謝以上に驚きの念を感じた次第である。
もちろん、僕自身にも勝算がなかったわけではない。「社会貢献では数字が取れない」と言われながらも、視聴率20%以上を叩き出す「社会貢献や社会起業家をテーマとしたテレビ番組」は出てきていたし、やりようによっては数字が取れることもわかっていた。ただ、そのような番組は単発企画でしかなかったし、ウェブマガジンという「活字の世界」で、しかも「連載」というカタチで継続的に社会貢献の最先端トピックスを伝えていくという作業については、僕にとってもハードルの高いチャレンジングな試みではあった。
社会貢献ネタでも
数字が取れる
おかげさまで連載開始直後には、「借金してでも社会貢献する若者たち」をテーマにした第3回記事がアクセスランキングで上位にランクイン。若者の社会貢献ブームを裏づける記事として大きな反響を得、さらにこの記事が僕の初の著書『社会貢献でメシを食う』(ダイヤモンド社)を発行するきっかけにもなった。ありがたいことにいまでも本書はロングセラーを続けている。「社会貢献ネタでも数字が取れる」ことを実証できた瞬間でもあった。
もちろん、数字が取れないことがわかっていても、どうしても書きたいテーマを書くという回もあった。そのあたりは編集部の寛容さに感謝するしかない。しかし、メディア・ビジネスの要点はやはり数字を取ること。なので、できる限りその努力もしたつもりだ。その甲斐あってか、適時ヒットを飛ばす記事も生み出すこともできた。なかでも今年6月に書いた第88回記事では、月間ランキング1位という嬉しい結果を残すこともできた。そうした試行錯誤の4年4ヵ月を経て、今回連載100回目という節目を迎えられたことに感謝したい。
もちろん自慢話をしたいわけではない。一番伝えたいのは、「社会貢献」というテーマがそれだけポピュラーになってきた、という事実である。
この4年4ヵ月を振り返ってみると、社会貢献の大きなうねりは第一波から第二波へ、いわば「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている、そんな変化を感じている。なぜなら、大きなブームやメガトレンドというものは、実は一直線に来るものではないし、最初の一撃だけで社会を大きく変えるものでもない。大きな波が何度かやってきて、社会を揺り動かし、やがて地殻変動を生じさせるものだからだ。