米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に指名されたジャネット・イエレン副議長は上院での指名承認公聴会で証言し、金融緩和策を性急に解除すべきではないとのスタンスを示した。米国金利市場では軒並み利回りが低下したが、10年や30年ではなく5年の金利の低下が著しい。5年金利の2倍から2年金利と10年金利の和を減じたバタフライスプレッドに見るように(グラフ参照)、5年の金利が相対的に大きく低下したことがわかる。

 米国の資産買い入れ政策(いわゆるQE)は資産価格上昇を目的とした政策であり、上昇を続ける住宅価格がFRB内のQE縮小議論を活発化させる構図に変化はない。他方、FRB内で長期金利上昇による経済への悪影響が懸念されていることにも変わりはない。

 イエレン新体制の下でFRBが目指すのは「できるだけ早いQE縮小と長期金利上昇抑制」とのコンセンサスが広がりつつある。イエレン副議長議会証言後の市場の動きは、QE縮小決定でも長期金利が上昇しないよう、FRBがフォワードガイダンスを強化するとの市場の思惑を反映したものだ。

 つまり、FRBはガイダンス強化とコミュニケーション戦略で短中期債の利回り低位安定をもくろみ、そのことで長期債や住宅ローン金利の上昇を抑制すると市場が先読みした格好である。